いや、簡単に言うとスーパーマンが極悪星から来た極悪宇宙人だったらっていう話。設定はおもしろいのに、撮り方がほんとダメだった。役者の演技につながりが全然ない。安いホラー映画のワンシーンのつぎはぎ。
子宝に恵まれず、子供がほしいと願うエリザベス・バンクス夫婦。ある夜、謎の物体が落ちてきてそこには赤ん坊が……。その得体のしれない赤ん坊を養子にして育てることにした夫婦。ときは流れ12歳になったジャクソン・A・ダン。
それまではほんとうの子供と親のように楽しく暮らしていたのだが、ジャクソン・A・ダンに変化が現れ、凶暴な一面が表にでてくる。
息子は人間じゃないけど、ほんとの親子としてうまくいってたのが、ダメになっていくっていうドラマの描き方がうまくいってなかった。
変わっていく息子に困惑、動揺、なんとか自分の手で決着しようとするみたいな、親のエリザベス・バンクスの葛藤みたいなのが全然うまく描けてない。そこがちゃんと描けてないと、ドラマになんないんだけど。
謎の声によって、本性に目覚めていくジャクソン・A・ダンが、どんどん人を殺していくのを見せていくだけになっちゃう。それも、どれもほんと安っぽいホラー描写で見てらんないしさあ。
部屋とか店とかに一人でいると、不審な気配を感じて、怖がって、ぱっと振り向いたらジャクソンがいて、ギャー!みたいなやつ。死に方が無駄にグロいのも、なんだかなあって。怖いというより不自然って思っちゃうし。
グロくしたいだけやんみたいな。
世界を手に入れろ、支配しろとかいう謎の声によって覚醒したジャクソンは、謎のマークをノートや殺人現場に描きまくる。そのマークにどんな意味があるんだろう、スーパーマンの胸のSマークみたいなもんかと思ってたら、どうやら自分の名前の頭文字らしい。
保安官がこのマークはBBか?ブランドン・ブライアが犯人だ!って名推理をしてたけど、そんな意味だったのか、このマーク。オレ参上!みたいなことだったのかと思うとアホらしくて。
ジャクソンがなんなのかというのは詳しく語られないけど、あれは宇宙人が地球を支配するために送り込んだ生物兵器なんだろな。
なんとかハチが自分の卵を別のハチに育てさせるという話が劇中でされるので、人間に育てさせて力が覚醒する年齢になったら地球を滅ぼすようにインプットされてたということなんだろ。
能力は基本的スーパーマンと同じみたいだった。目からビーム出す、ものすごい怪力、空を飛べる、瞬間移動のように素早いなど。
最後、エリザベス・バンクスはジャクソンを殺す方法を考える。ジャクソンが乗ってた宇宙ポッドの素材ならジャクソンを傷つけられるというのがわかったので、ポッドの破片をしのばせて、ジャクソンに近づき刺そうとするのだが、
そんなことはジャクソンはお見通しで、エリザベス・バンクスを抱えて急上昇で雲の上に。そこで手を離されてエリザベス・バンクスは落下して死亡。
人間的な心を完全に失って、覚醒したジャクソン・A・ダンは各地でビル破壊や山火事をおこすなど、地球を滅亡させる行動を着々と続けるのだった……、おしまい。
スーパーマンが悪人だったらみたいな話だけど、これ親が思春期の子供に戸惑うっていう話をファンタジーホラーの形でやってるとも見えますね。
12歳ってそういう年頃じゃないすか?小さいときはパパ、ママってなついてくれて楽しくやってたのに、突然、なめた態度とりだしたり、言うことまったくきかなくなる。子供のことがまったくわからなくなる。
自分とはまったく別の存在、異星人かのように感じてしまう。そういう思春期の子供をもつ親の心境をこういうエンタメファンタジーの形にして描いてるのかも。
設定はおもしろいのに、描き方が安いホラー映画のつぎはぎで残念だったなあ。アイディアだけで突き進んで、それをどう描くかという部分がお留守になっちゃうパターンの映画。