お話は郷ひろみ、秋吉久美子、川口厚の三角関係。都会で出会った3人が幸せになろうともがくが不幸な結末に終わるっていう残酷青春物語。なんでこんな悲しい話の映画を作ったんだろう。
若いアイドルがキャッキャウフフする楽しい青春ドラマでいいじゃないかって思ったけど、めちゃくちゃシリアス。
川口厚は三浪で早稲田大学合格を目指している予備校生。その下宿に転がり込んでる郷ひろみ。ロッテリアでバイトを始めます。秋吉久美子が働いてるのを見て、この子いいじゃんって一目惚れして同じとこで働こうってことで。
郷ひろみはけっこう不良です。暴走族のやつから、女にからむ男の役を5万で頼まれて、やるんだけど、2万しかもらえず、ケンカするとか、けっこうな荒くれ者。
秋吉久美子は最初は郷ひろみを相手にしてないけど、けっこういいなって思い始めて、一緒にデートでスケート行こうってことになるんだけど、郷ひろみが揉めてた暴走族のやつらに見つかってボコボコにされてデートにいけなくなる。
そのかわりに川口厚が秋吉久美子とデート。川口厚は秋吉久美子にメロメロになって、ノートに戸田京子と何ページにもわたって書くというのぼせ状態に。
おれ秋吉久美子にまいっちゃったんだよっていう川口厚を、おう、応援するよっていう郷ひろみ。川口厚はいい奴で、これまでずっと世話になってて、恩を感じてるから、自分の気持よりも川口厚を優先しちゃう。
義理と人情、はかりにかければ義理が重たいってわけ。これが不幸の始まり。義理より人情を優先したら、このあとの悲劇は起きなかった。
秋吉久美子は郷ひろみに惚れてるのに、郷ひろみは距離をとって、川口厚を押し付けてくる。ニセの恋人まで呼んできて、秋吉久美子に川口厚とくっつくように仕向けてくる。川口厚もヒートアップ。結婚しようと求婚してくる。
それに腹を立てた秋吉久美子は川口厚と寝てそして妊娠。子供の生まれるし、結婚もして、これでうまくいくと思いきや、秋吉久美子がロッテリアの主任にレイプされそうになる。
それに激怒した郷ひろみが主任とケンカになってもみ合ってるところに、川口厚がやってきてブロック塀で主任の頭を強打。死んだ~、殺してしまった、もう終わりだ~ってなるんだけど、郷ひろみがすべての罪をかぶるから、黙ってろと。
おれは未成年だし、そんな重い罪にはならないよ、それにお前には秋吉久美子と生まれてくる子供もいるじゃないか、守るものがあるじゃないかと、川口厚を説得。
郷ひろみは少年院へ。ちゃんと髪を丸坊主のスポーツ刈にしてました。
これでまたうまくいくのかというと、いかない。
死んだと思ってた主任は死なずに生きてました。事件の目撃者もいて、郷ひろみがやったのではなく川口厚がやったことがわかって川口厚が逮捕される。早稲田大学の入試を終えて帰ってきたところで刑事に逮捕です。
郷ひろみは釈放。秋吉久美子は、なに二人で勝手なことしてるのよ、わたしはのけ者なのって怒って精神がだんだんおかしくなって、自殺未遂をおこすようになる。
皮肉にも川口厚は早稲田大学に合格。しかし牢屋なので通えないし、ゴホゴホせきをして川口厚の体調が思わしくない。面会で励ます郷ひろみだが、不穏な空気が立ち込める。
幸い、事件は主任がレイプしようとしたことが発端なので、情状酌量の余地があったのか、大きな罪にはならずに、保釈金200万を用意すれば出所できることに。
200万なんかどうやって稼ぐのかと途方にくれるのだが、郷ひろみにはあてがある。
郷ひろみは私生児で父親を知らずに育ったのだが、父親は裕福な病院の医者であることがわかってて、正体を明かさずに一度ケンカの怪我を診療してもらっていた。
自分が息子であることを明かして、200万円もらおうと父親に会いに行って殺伐とした会話をして200万円の小切手をもらう。こんな殺伐とした父と息子の再会は悲しいね。
まあ、それでお金が用意できて、保釈だ保釈だと喜んで迎えに行く郷ひろみと秋吉久美子だが、川口厚は昨夜心臓発作で死亡していたのだった。
もう九州の田舎へひとりで帰るという秋吉久美子。一緒に暮らして、秋吉久美子と子供とオレの3人で暮らそう。父親なしの子供の辛さはおれがよく知ってるからっていう郷ひろみなんすけど、
秋吉久美子は冷たく突き放す。父親がいなくてもこの子はちゃんと生きていくわ、あなただけいい子ちゃんになろうとしないで、私たちは3人で1つだったのよ、川口厚が死んだ時点ですべて終わったのよって。
ひとり残された郷ひろみは秋吉久美子と川口厚が飼っていた鳥をかごからだしてやって、とぼとぼと歩き出したのだった。おしまい。
なんて暗い青春だ。
ひどいっすよ。こっちは郷ひろみのアイドル映画を期待してたのに、こんな救いのない暗い話しを見せられるとは。
この暗さは原作が遠藤周作だからかな。逃れられない人間の罪の物語を遠藤周作は小説で書いてるから、これもそういう話なんだろね。
自分の気持を偽っていい人を演じようとした罪。人の罪を嘘をついて自分がかぶろうとした罪。よかれと思ってしたことがすべて大きな災厄になって降りかかる。
けっこうおもしろかったなあ。ロッテリアが撮影協力してるから、郷ひろみや秋吉久美子が厨房でハンバーガー焼いたりポテトあげたり仕込みしたり、働いてる描写がけっこうあるんだけど、よくロッテリアは協力したなあ。
お客はガラの悪いやからみたいな連中ばっかだし、主任はレイプ犯だし、ロッテリアのイメージ悪くなっちゃうような気がするけど、おおらかというかなんというか。