有名作家の手紙とかゆかりの品はアンティークとして取引される市場があるみたいですね。古本、稀覯本の延長みたいな感じなんでしょうか。
メリッサ・マッカーシー演じる主人公は、伝記作家として数冊ヒットをとばした作家だけど今は新作も書いてないし仕事もクビになるしで家賃滞納、飼い猫の病院代にも困る状態。アル中でやさぐれた性格で、口癖はくそったれ。
恋人とも別れ、今じゃゴミ屋敷化したアパートで猫と同居で荒れた生活です。世界に毒づいて生きてるって感じです。
文章力には自信があるけど新作を書けないでいる。あるとき作家の手紙が買い取ってもらえるとわかり、じゃあ偽造したらいいじゃないかとなって、生活費を稼ぐためにどんどん偽造してどんどん売る。
古本が買い取り拒否か数ドルにしかならないのに、手紙は便箋1枚が数百ドルで買い取りしてもらえる。1枚の紙が数万円になっちゃう。こりゃやりますよね。1枚ささっと書いて売って家賃1ヶ月分ゲット!とか。
古いタイプライターを使ったり、サインを真似てみたりとかしてるとはいえ、なんにも疑われなくてどんどん買い取りしてもらってるんすよ。こういうのって鑑定とかないのかな?って思ったんだけど、メリッサ・マッカーシーが書く文章がおもしろいからみんな疑わなかったんですね。
その作家が手紙で書きそうなことを気の利いた言い回しで綴ってあるから疑われなかった。さすがあの有名作家だ、手紙でもこんな洒落たこと書いてるって。みんなが欲しがるものをメリッサ・マッカーシーが提供したってわけですね。
なんか絵の贋作師は、すでにあるものの偽物を描くわけじゃなくて、この作品とこの作品のあいだにはこういう作品があるはずだと専門家が考えるような実際には存在しない絵を描くらしいです。それのほうが騙せるらしい。人があるはずだと思う、見たいと思うものを提供する。
主人公にはそれだけの文章力があった。だけど書きたいものがなかった。まあ、偽造しすぎて最後はFBIも動く大事になってきます。捜査の手が伸びてるとわかってもやめられない。最後は偽物を売るんじゃなくて、資料館とか図書館とかに行って、偽造したものと本物をすり替えて、持ち帰った本物を売るというとこまでいきます。ルパン三世か?みたいな。
これなら本物なんだから大丈夫って、そんなわけあるかーいっ。
まあ、地味な映画でしたけど、メリッサ・マッカーシーのクソ野郎演技がおもしろくて、それだけで見れた感じです。事件うんぬんより、生き辛さを見せつけられる映画だったなあ。生きてると辛いことばかり。それでも毎日をなんとかやりすごさなきゃいけない。辛い。