全編ギャグなんですよね。ノリがギャグの連続って感じ。昔、いろいろあったよねって過去にあったことは軽く流す感じで深くは描かずに、サラッとやって、そんなことより今のこの瞬間が大事だろってど派手にぶちかます。
その軽いノリがよかった。よく知ってる人だと、どうしてこうなるのか、なぜあそこをちゃんと描かないのかってなると思うんだけど、知らんからただただ瞬発力勝負のギャグを楽しむことができた。
なんかもうクリス・ヘムズワースの見た目からして面白いんすよ。最初出てきたとき、え?ジャック・ブラック?って思ったもんなあ。クリス・ヘムズワースってこんなコメディアンっぽい雰囲気の俳優だったっけ?ってちょっと笑ったもんなあ。
もうちょっとヒーロー然としたかっこいい系だったような気がしたけど、くたびれてやさぐれてる中年オヤジになっててすでにそこで面白かった。
それにナタリー・ポートマン。ナタリー・ポートマンってもうこんなにおばさんになってるんだって衝撃受けた。なんかナタリー・ポートマンって頭の中でずっと子役のイメージで止まってるんすよ。中年のナタリー・ポートマンが出てきてそれだけでおもしろい。
しかも、ハンマー持ってソーになっちゃってるし。え?ただの人間がそんなことなっちゃうわけ?って何がなんだかわからないけどおもしろい。めちゃくちゃだなと思ったけど、ナタリー・ポートマンがステージ4の末期がんでハンマーのちからで治せないかともがいてるシリアスな事情もあってこれもおもしろいですね。
ラッセル・クロウがゼウスっていうのも笑える。グラディエーターのときの精悍な将軍の姿はなく、でっぷりと肥満しただらしない姿でおもしろい。悪役がクリスチャン・ベールなんすよ。役に入り込みすぎて誰だかよくわからなかった。よく見たらクリスチャン・ベイルっぽいなって思ってキャスト欄みたらクリスチャン・ベイルだった。
アメコミ映画でも一切手抜きなしのいつも通りの作り込みのすごい演技してました。神に祈っても娘を助けてくれず、神は祈る人間のことなど虫けら同然に思ってると知って絶望して神殺しの剣に呪われて神を殺して回ってるやつをめちゃシリアスに演じてる。
ハチャメチャとシリアスの振り幅がすごい。おふざけなんだけど大真面目。シリアスなんだけどコメディ。なんも難しいことない。映像はスピーディーで迫力あって楽しいアクションだし、最後はやっぱり愛だろ愛っていう陳腐なまとめかたも簡単でよかったし。
あとさ、寸劇シーンでなんか見たことある人が出てるって思ったらマット・デイモンだった。大変な事態が起きててんやわんやしてるときに、この状況をすぐに寸劇化しましょうってテッサ・トンプソンにお伺い立ててたのがおかしくておもしろかった。そんなにあの劇が重要なのか?みたいな。
設定とか過去シリーズとかよく知らない自分にとってはこういうテンポとノリ重視の作りがおもしろく見れていいですね。ガンズの音楽もご機嫌でナイスでした。こういう見終わったら内容を一切思い出せないぐらいノリがいいのがやっぱりいいね。