CMとか他の映画とかでよく使われてるからバンドのことは知らなくても曲だけ記憶に残ってたんだなあ。曲ってカバーとかされるから、発表されてから時間がたっても残っていくけど、バンドのほうは忘れ去られていくもんなんだな。
街から出るには、軍隊に入って死ぬか、ギャングになって死ぬか、有名になるかしかないと思ってる若者たちがバンドで成功しダメになりいろいろあってまた何十年後にロックの殿堂で再会のステージをふむまで。
前半は街のチンピラがイキってるのを延々と見せられます。バンドのリーダーはミュージシャンじゃなくて、有名になる手段としてバンドやってるやつなので、ほんとチンピラ丸出しなんすよ。
アル・パチーノやロバート・デ・ニーロのマフィア映画のマネをやってる子供みたいでなんか笑っちゃった。床屋で見習いやってるやつの声にボーカルとしての天性の才を見出して、こいつは売れるって感じでバンドやる。
いい曲書けるやつがいるって紹介されて、そいつも加入してデモを作ってレコード会社と契約してレコーディングしてヒットが出てってどんどんのぼっていくんだけど、なんかみんな不幸に見えたなあ。
成功したいと頑張って成功したはずなのに、ぜんぜん幸せそうじゃない。そのうち不満がでてくる。おれがあいつを見出して目をかけてやったからバンドはうまくいったんだと、バンドの金に手を付けるやつ。ボーカルと作曲のふたりでうまくやろうぜと内緒の契約するやつ。もうツアーにうんざりで家に帰りたいやつ。
それぞれが問題かかえてバンドの存続が難しくなる。まあ、一番の問題はお金ですかね。デビューのレコーディング資金を裏社会から借りてて、それの返済をいい加減にやってたから借金が膨らんでしまってたのが一番の問題。
でも、ボーカルのやつがツアーでもなんでもやって返済すると決めて1年中ドサ回り生活です。その中でまた起死回生のヒット曲が出たりもする。でもバンドはもう解散状態で一人ぼっちです。家庭も崩壊、娘も死んじゃうし。
まあ、なんかピンとこないのは否めないんだけど、つまらないっていうわけでもなかったです。ロック以前のポップスなので、お上品なんすよね。音楽もステージパフォーマンスも、聞いてるオーディエンスも。
ボーカルの人の声質に好き嫌いがあると思うけど、バンドの演奏シーンはちゃんとできてるし、曲もいい感じです。でも、見ててなにか心に熱いものがこみ上げるとか、魂を揺さぶられるとかそういう感動はなかった。
バンドのドラマもまあそうだよなあ、金にルーズなやつがいたらこうなるし、1年のほとんどをツアーに出てりゃ家庭はめちゃくちゃになるだろうしって感じで、とくにこれといってひっかかるところがなかった。
なんかこの映画のザ・チェッカーズとかラッツアンドスターとかバージョンを見たくなったなあ。おなじ感じで作れるんじゃないかな。
ガキ大将タイプがいて、天性の才があるボーカルがいて、曲書けるやつがいて、存在感薄いやつがいて、最初は反りが合わなくてもなんとかやっていけてたけど、成功していくうちにお互い不満が高まってバンドは分裂分解しちゃうっていうね。
地元の仲間たちが集まってバンドやって成功して別れがくるっていう話。ジャージー・ボーイズじゃなくて、久留米ボーイズが見てみたい。