犯人はさらに流出させる。止めたければ大金を払えと脅迫する。それで犯人探しが始まってあれこれあるっていうミステリー話です。
前半は設定説明の描写。中盤に流出事件発生。後半は真相解明のパート。仕事の依頼主の出版社の編集者がなぜか刑務所に入ってて、翻訳者の一人と面会して話してるシーンが現在。面会で話すシーンに過去の回想がはいって真実がわかるようになるっていう構成。
原稿が流出した手口は翻訳作業に入る前にすでに盗まれてコピーされていたとか話す。翻訳者の何人かがチームだった。オリエント急行の殺人のスタイルですね。複数の関係者が犯人っていうやつ。
まあ、全員が仲間っていうわけじゃなく、それで終わりじゃなくて話はまだ先があります。出版社のやつに疑われてなじられて翻訳者のひとりが首吊り自殺してしまう。犯人探しは終わらない。出版社のやつの暴走は止まらない。銃を振り回してひとりを撃ってしまう。
なんかめちゃくちゃだなあって思ったけどね。まあ、世界的ベストセラーで巨額の利益をもたらす作品にかんすることだから、人殺しでもなんでもするっていう感じなんだろうけど、そこまでする~?普通?って思っちゃった。
この計画を考えて実行したやつのほうも、ここまでする?って思っちゃったなあ。創作に敬意をはらわずに、金儲けの道具に使う出版社が許せなくてここまでやったというね。これもまた狂気を感じる。
どういうテンションでこの映画を見たらいいのかよくわからなくなった。まあリアリティは最初からないから、こんなことないなあとかは思わないんだけど、どうもなあ。騙し合いゲームとしての爽快感はない。後味悪い。
狂気の物語。それしか思わない。はめたほうもはめられたほうもどっちも狂ってやがるみたいな。ミステリーというよりリベンジサスペンスですかねえ。金儲けのために人殺しもなんとも思わないやつ。崇高な創作を商売にするとは許せんと危険をおかしてまで狂った計画をするやつ。
どっちも狂人としか。最初っから自分が表に出て自分で出版社とディールしておけばよかったんでは?とか思ったけどね。
おもしろいシーンだったのが、翻訳者たちが銃で脅されてるときに、反撃する相談をいろんな言語でするとこですね。フランス語以外で話して、警備員を誰と誰で攻撃するとか反撃の計画をたてる。
スペイン語とか中国語とかだったら、出版社のやつにはわかんねえだろってことで、多言語であれこれあせって話してるのがスリルあっておもしろかった。
あ、それとリアリティないとおもったけど、もともとのアイディアの出発点は実際にあった話なんだって。ダ・ヴィンチ・コードでおなじみのダン・ブラウンのロバート・ラングドンシリーズの4作目「インフェルノ」の出版のときに、海賊版の流出を懸念した出版社が各国の翻訳者を出版社の地下室に集めて翻訳を行ったっていう実話があるそうな。
へえー、そんなことあったんだ。殺人事件とかは起きてないと思うけどね。