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『ホームレス ニューヨークと寝た男(原題:HOMME LESS)』【映画のあらすじとネタバレ感想】


ドキュメンタリー。ニューヨークでアパートメントの屋上で野宿する暮らしを5年続けている中年男性マーク・レイに密着した映画です。若いときにファッションモデルをやってヨーロッパで暮らす。その後いろいろあってニューヨークに来て、50歳をこえる今はたまに映画にエキストラで出演したり、ファッションフォトグラファーとしてカメラマンの仕事したりしてます。

こざっぱりとしたジャケットに革靴、首元にストール、元モデルなので長身でスタイルが良い。ニューヨークでいけてる生活してるように見える彼が毎晩帰っていくのが違法侵入しているアパートの屋上というギャップ。

優雅な生活してそうな、見た目の良い彼が寝床にしているのが、友人のアパートメントの屋上とはね。防水シートにくるまって寝てる。貴重品はスポーツジムのロッカーに。そんな暮らしをして5~6年だそうです。

ニューヨークを去って故郷の田舎に帰って、年老いた母親のそばで世話しながら地元で働いて実家で暮らすということもできると思うけど、彼はそうしない。

ノマド的生き方の信奉者というわけでもなく、ミニマリストというわけでもない。やむにやまれず、追い込まれての宿無し生活。

ニューヨークで映画やファッションの業界の周辺にとどまって生きることを選んでる。なんかあれなのかな。夢をもって田舎から出てきて、夢の祭りを味わった人は、なかなか敗北を認められないのかな。

熱狂が忘れられなくて、ずっと夢の世界にとどまることを選んだってことなのか。野宿生活することになっても、NYにいたいということなのかな。映画とかファッション、音楽、芸能の界隈には、こういうかつて夢と希望に満ちあふれていた若者だったけど、夢破れた中年男女がたくさんいるだろう。

うーん、主人公の彼がどういう思いで今の暮らしをしているのかはよくわからないけど、50歳であの暮らしは体にそうとう辛いのは確か。

ニューヨークの冬って凍死者がでるぐらい寒いんじゃなかったっけ。冬もアパートの屋上で防水シートにくるまって寝てるのかなあ。自分だったら1日で体調おかしくなってどうにもならなくなりそうだ。

防水シートを買うときに、ペラペラのやつは風が強いときにバサバサ音がするからダメだ、分厚いやつを買おうっていってたのがリアルだった。

メン・イン・ブラック3のエキストラ出演で、ヒゲを剃っていかなきゃいけなくて、朝起きて路上でヒゲを剃り始めるけど、カミソリが古くて剃れなくて、新しいの買うのもったいないし、スペアはスポーツジムのロッカーで取りにいく時間はないとかいってあせってたのがおもしろかった。

人生ってなんなんだろって考えちゃったなあ。どこで間違えたのか、大学にも行ったし仕事でキャリアを積んでいこうともしたけど、今は宿無し生活、どうしてこうなったのかみたいなことを彼が言うシーンがあったけど、重いなあ。

誰しも年取るとどうしてこうなったのか、若いときはこんな未来を思い描いていなかったと、暗い気持ちになるときがある。

現状に満足できないどころか、どうにかして抜け出したいと思ってるけど、抜け出し方がわからない。そして時間だけが過ぎていって、どんどん年老いていく。そしてもっとどうにもならなくなっていく。

なんだかすごく恐ろしくなってきた。ここからよくなっていくことはないっていう現実を意識すると恐怖に押しつぶされそうになる。

そんな恐怖をやりすごすには、1日くたくたになるまで動き回って、寝床に倒れ込むのが一番か。

田舎の実家に帰るシーンがまた涙出てくるなあ。田舎の家で一人暮らししてる母親のとこに感謝祭かなんかで帰省するんだけど、母親はカメラに写りたくないと出演拒否。声と遠目からのショットで後ろ姿が少し見えるだけ。

かなり高齢な感じなんすよ、お母さん。まあ本人が50歳こえてるんだからお母さんも当然年寄りなわけだけど、ああいうの見るとなんかしんみりしちゃうね。

兄と姉?かな兄弟がいるらしいけど、みんなお金には苦労しててその日をなんとかやりすごすギリギリの生活してるとかいう話もしてました。

最後は冗談なのか本気なのか、視聴者に支援を訴えるようなことも言ってた。やっぱりどれだけ身なりを整えて陽気さを装ってニューヨークで暮らしても、現状は野宿生活で悲惨で苦しい。ほんと生きるって苦しい。みんな苦しいもんなんだな。


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