アメリカとメキシコの麻薬戦争の話をいろいろな人の視点から同時に描いていくドラッグウォーサスペンス。何個の話が同時並行してるんだっけ。ええと、メキシコの刑事ベニチオ・デル・トロの話。アメリカの麻薬撲滅担当のマイケル・ダグラスの話。アメリカのドラッグディーラーの嫁、キャサリン・ゼタ・ジョーンズの話。カリフォルニアの麻薬捜査官ドン・チードルの話。4つかな。
それぞれのパートが色分けされていて、黄色っぽい画面だったり青っぽい画面だったりするのでわかりやすい。こんだけ話の視点がごちゃごちゃしてたらこんがらがりそうなもんだけど、意外と難しくなく見れますね。
見て思ったのが、けっこう連続テレビドラマっぽい手法で作られてるなってこと。4つの話は全部それぞれ連ドラでやれそうな話なんすよ。それを組み合わせてスピーディーに展開させて、それぞれの話のおいしいシーンだけをやる。
連ドラでやったら間延びしちゃうけど、4つの連ドラのおいしいとこだけつなげることで、濃いドラマが展開する。なんかダイジェストになっちゃって浅い映画になりそうなもんだけど、4つの視点をつなげる麻薬っていう大きなテーマがあるから薄っぺらく感じない。
うまいもんですね。そりゃあ賞もとるわけだ。もともとテレビシリーズなのかな?まあ、それぞれのエピソードっていうかストーリーはけっこう陳腐なところもありますよ。キャサリン・ゼタ・ジョーンズは実業家の夫と豪華な暮らししてたんだけど、夫の仕事内容は知らなかった。ある日夫が突然逮捕されて、実は夫の事業っていうのは麻薬売買だと知る。
なんも知らなくて途方にくれるキャサリン・ゼタ・ジョーンズ。財産が凍結されてお金なくてこの先どうすればいいのかみたいな。夫は牢屋で裁判になるし、幼い息子もいるし、ご近所付き合いもなくなって一人で助けになる人もいない。
それで夫の事業を引き継ぐというか、夫がすすめていた仕事の話をキャサリン・ゼタ・ジョーンズがメキシコ行ってまとめるんすよ。麻薬をかためて作った人形を使う取引。メキシコのカルテルと話つけて、夫の裁判で証言しようとしてるディーラーの暗殺まで依頼するキャサリン・ゼタ・ジョーンズ。
つい最近までなんも知らなかったにしては度胸良すぎです。なんかリアルな感じはあんまりしなかったですね。マイケル・ダグラスのいいパパドラマとかも、なんか嘘くさかった。
マイケル・ダグラスは大統領補佐官かなんかで麻薬撲滅のための役職についてるんだけど、娘がドラッグにはまって大変なことになってるんすよ。またこの娘の人の演技がすごい。恍惚の表情が怖い。もう人生麻薬をやることだけしかないみたいな顔する演技がすごいです。
そんな娘を救いたいとあちこち探し回ったりするわけ。娘はドラッグ欲しさに売春したり、ドラッグディーラーに体売ったりしてんの。必死になって探し当てて、おおかわいそうな娘よって泣くマイケル・ダグラスなんだけど、なんかなあ。
麻薬撲滅の政府の仕事もやめる。わたしには娘のことを黙ってできないって。なんか嘘くさいキャラクターというかなあ。あのラストの家族みんなで立ち直りますみたいなのもどうもいただけなかったかな。
ベニチオ・デル・トロのパートが一番ひりひりしててよかったかも。アメリカが麻薬と本気で戦うのなら、こっちの人たちの生活に興味を持つべきだっていうね。マイケル・ダグラスの娘の友達も言ってたけど、麻薬売ってくれとやってくるアメリカ人がいれば、麻薬売って稼ごうとするやつらがいなくなることはない。
ドン・チードルが捕まえたディーラーに裁判で証言させるために護衛してるときに、そのディーラーも言ってました。こんなことになんの意味もない。おれが証言してひとつのカルテルが消えたとしてもまた別のカルテルにかわるだけ。
で、こんなことに意味がないとわかっててもそれをやってるお前らってなんなんだみたいな。そんなこと言ってましたなあ。麻薬撲滅とかいいながら、麻薬カルテルの抗争に手を貸してカルテルの存在の維持に協力することになっちゃってるアメリカ。
捜査官が目先の売人やディーラーや組織を追っかけ回して終わる戦争じゃないっていうね。もっと大きな話で、人の人生や生活、そのレベルでどうにかしないとかわらない問題だみたいな。
メキシコとアメリカの麻薬ルートをめぐる映画ってけっこう量産されるようになったのは、この映画がきっかけかな?古い映画だけどけっこう面白かったですね。マイケル・ダグラスとかめちゃくちゃ若くてびっくりした。