モノクロ映画の中から綾瀬はるかが出てきて若い助監督と切ないラブストーリーを展開する話。やりたいことはわかるから、贔屓目に見ちゃいますね。映画、活動写真ですか。映画愛の話なので気持ちはわかるよみたいな。でもなんかちょっと俳優の演技がきついというかキャラクター設定がなれるまできつかった。
主役の若手助監督は、星野源みたいな坂口健太郎で真面目だけど押しが弱い男っていう設定で、ものをはっきり言わないキャラ。なんだけど演技が子供みたいでなんか違うなあみたいな。モノクロ映画の中からでてくる綾瀬はるかはお転婆のお姫様っていう設定なんだけど、言動がただの異常者にしか見えない。
お転婆を勘違いしてるような……。あれはお転婆じゃなくて精神に問題ある人じゃないか?黒澤明監督の「隠し砦の三悪人」の雪姫をオマージュしてると思うんだけど、なんか違うって感じがした。上原美佐のコピーと考えればうまくできてたけど。
まあ、映画の中のキャラクターだから現実離れした性格だという設定なんだろうけどさ。
綾瀬はるかの喋り方は戦国武将でドS。主役の助監はなよなよ弱々しいM男。そんな二人のSMチン騒動を前半見せられるんだけど、これがきつかったなあ。なんか面白いって思えなかった。映画の中から飛び出してきた映画の登場人物がこっちの世界でおこす騒動を楽しいって感じられなかった。
坂口健太郎は綾瀬はるかのどこに惚れたんだろうか?あの綾瀬はるかが主演してる映画はけっこう無茶苦茶な映画で、気が強くて口の悪い王女が大暴れして下僕どもに無理難題をおしつけて困らせるみたいなよくわからない時代劇だったけど。
そこなんだよなあ。坂口健太郎は綾瀬はるかに惚れたというより、あの古いモノクロの映画を愛していたっていうことなんじゃないのかな。綾瀬はるかにというより、古き善き時代の白黒映画が愛おしかったということなんだろな。
映画は見ることができるけど、実際に触れることはできない。だから綾瀬はるかに触れられないっていうことなんだなあ。
そんな感じで前半はけっこうきつい。やっぱ後半ですよねえ。加藤剛。これがよかった。病院でもういつお迎えがきてもおかしくない老人、助監督の年取った姿を加藤剛が演じてるんだけど、もうすごい存在感なのよ。
演技というか、加藤剛自身のこれまでの人生、俳優として人間としての人生すべてが全身にあらわれた姿をしてて、演技とかそんなんじゃなくて、存在そのもので演じているみたいな。そういう加藤剛がすごくよくて、目が離せない。
またさ、綾瀬はるかもすごいのよ。生命力が。体から発する生命力のオーラがすごい。綾瀬はるかってもうそんなに若者でもないような気がしたけど、鍛えてるのかな。生き生きとしたエネルギーがすごかった。
人生の最後のときをむかえる間際で枯れている加藤剛。人ならぬ謎の生命エネルギーにみなぎる綾瀬はるか。この二人の対比が、時間の経過、人生の時間のはかなさを感じさせてぐっときます。
あと綾瀬はるかの衣装と髪型がよかったですね。オードリー・ヘップバーンのモノクロ映画みたいな、あの時代のクラシカルな雰囲気の衣装と髪型を綾瀬はるかがしてて、いろんな衣装で出てくる。それが似合っててよかったですね。
衣装はちゃんとしたデザイナーとかどっかのブランドの人とかがやってんのかな?
あとは北村一輝もよかったなあ。スター俳優の役。役っていうか昔の映画の二枚目大スターをカリカチュアした役なんだけど、バカバカしさがすごくておもしろかった。
まあなんといっても加藤剛かな。もうあんなの見せられたらなんも言えない。年を経て老人になった加藤剛だからこそできる役だったもんなあ。
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