人生にとって大切なのは何を成したかではなく成そうとしたかだ『ハミングバード・プロジェクト 0.001秒の男たち(原題:THE HUMMINGBIRD PROJECT)』【映画のあらすじとネタバレ感想】
実話ではうまくいったのかどうだったのか、結末はよく知らないんすけど、この映画では悲しいことになってました。ジェシー・アイゼンバーグがこのアイディアを思いつき、金主を見つけて出資してもらい、従兄弟のプログラムの天才アレキサンダー・スカルスガルドをサルマ・ハエックのところから引き抜きプロジェクトを開始する。
ケーブルをとにかく最短距離で敷設する。土地の買収、使用権の契約、掘削作業。途中に国立公園とかあったり、川があったり、岩盤があったり、アーミッシュの土地があったりで苦労するのを描写します。それと並行してプロジェクトに気がついたサルマ・ハエックの妨害、電波塔を使った高速接続の試みとかも描かれていきます。
それでさ、途中でジェシー・アイゼンバーグが胃がんだとわかる。すぐに治療にはいったほうがいいって医者に言われるけど、プロジェクトは自分が指揮しないと進まないから休むわけにはいかない。
体も精神もボロボロで街のよくわからないマッサージ店にいってマッサージうけて泣いてるシーンが悲しかったなあ。
それにサルマ・ハエックの妨害でアレキサンダー・スカルスガルドがFBIに逮捕されてしまう。サルマ・ハエックは女王様気質なので、ジェシー・アイゼンバーグに勝手やられたのが気に食わない。サルマ・ハエックのところを辞めるときにプログラムを持ち出してるのが、社会的脅威になるという理由でFBIを動かしてアレキサンダー・スカルスガルドを逮捕させる。こういう嫌がらせの仕方があるんですね。
もう踏んだり蹴ったりでプロジェクトはどうなるのかって感じなんすけど、なんとか完成まで突き進む。そこに特大のパンチが。サルマ・ハエックがすすめていた電波塔を使った高速回線がジェシー・アイゼンバーグのケーブルよりも高速接続できることが判明。
このプロジェクトは他の誰よりも速く接続できるから意味があった。高速接続競争があって、1年とかで陳腐化するわけだけど、その間に稼ぎが何百億円あればペイできる計算だったけど、ケーブルが完成する前に、ケーブルより速い接続方式をライバルが完成させたってわけ。
もうね、これはへこんだなあ。ガンにもなって、なんも悪いことしてないジェシー・アイゼンバーグがFBIに逮捕されるし、掘削作業は困難を極めるしで、命と人生をかけた一大事業が、完成する前に意味をなさなくなってしまう徒労感。
アレクサンダー・スカルスガルドがああでもないこうでもないと計画通りの接続スピードを実現するために試行錯誤して、中継機の数を減らすことで実現可能とわかって浮かれるシーンがよかったですね。解が出た瞬間のドヤ顔でドヤ歩き。誰に見せるわけでもないドヤっ!っていう有頂天な感じ。
でも自分たちよりも速い回線をサルマ・ハエックが完成させたから意味なくなったんだけどね。ハミングバードプロジェクトのケーブルは完成するんすよ。そして目論見どおりのスピードで接続できる。ほんとならやったぜ!って大歓喜するところだけど、がっくりなんですよ。プロジェクトは成功したが、そのスピードでは他の業者に負けてしまうので意味がない。意味がないケーブルが完成した。
血尿だして倒れてストレッチャーで運ばれても倒産保険にはいってどうにか損失補填できないかと必死こいて、すべてをかけてやろうとした事業がまるで無駄になった。まあ、悲しいけどこれが人生だって感じですかね。人生は何を成し遂げたかが重要ではない、何を成そうとしたかが重要なのだ。
ウォール街では大金を稼ごうと高速接続競争、株の売買で儲けた損したとやってるわけですけども、それが日々の暮らしをやってる普通の人の何に役立ってるの?っていう問いもありましたね。
アレキサンダー・スカルスガルドが自分たちのやってることをウェイトレスに説明するときにレモン生産会社を例えにするんだけど、これこれこうやってこうなったら大金を稼げるという説明に、ウェイトレスがそれでレモン会社はいくら得するのか?って聞く。
いや、レモン会社は関係ないんだが、、、そう言われて、株の売買で大金稼ぐことが実態社会とはまったく切り離さてることだとわかってちょっと考えるみたいな。アーミッシュの土地にケーブル埋めるときにもめたのも同じですね。ケーブル埋めるのにお金あげるといってもアーミッシュは興味ないという。
金融業界でのことが、日々の人々の暮らしのことと乖離している。なんか嫌な世界だね。投資しないとお金持ちになることはできない。普通に真面目に毎日暮らしているだけでは、どんどん貧乏になっていく。お金以外の生きがいをなにか見つけないとやってられないね。
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