こういうのけっこう好きですね。展開に身を任せていれば、小気味良いテンポでおもしろい出来事が次々と起きるから見てるのが苦にならない。邦画って変な間が多いじゃないすか。そういう変な間がないからストレスがない。それがいいところですね。
まあ、そのテンポの良さがいいとこだけど、そのせいでひとつひとつの事件というか出来事がけっこう薄味というか、冷静に考えるとそれどうなん?みたいに思える変なことだったりするのがいまいちなところ。
でも、チョッパーベースのノリのいいBGMがかかって、なにか企んでますよみたいなドヤ顔してる大泉洋が歩いてるシーンとかのテンポの良さ、ノリの良さだけで、なんかすごいことが裏で進行している匂いがすごいでてるから、おもしろく見れます。
取締役会を掌握して思い通りに運んだ佐藤浩市が、おもむろにタバコを吸い始める。役員が急いで灰皿を用意するとか、面白いんだよねえ。佐藤浩市が勝ったと思ったらプロジェクトKIBAはすでに時代遅れで、アメリカ行ってた息子がアマゾンと提携をまとめて、またひっくり返る。
勝ったと思ったときには、すでに負けていた。負けたように見えたやつの術中の中だったっていう痛快なやつが何度も展開します。
廃刊寸前の雑誌をたてなおすためにやってきた大泉洋の策略がことごとくはまり、花開く。大泉洋が勝者かと思いきや、松岡茉優がまたひっくり返す。
いやー、痛快ですね。痛快な逆転劇を見せるというのがこの映画の目的で、そこに集中してるからいいんだね。恋愛要素とかアクションとか付け足したくなるものを省いて、勝者敗者がひっくり返っていくのに集中してるからいい。
出版業界の内幕ものとしても楽しめたんじゃないすかね。売れる本を書ける人気作家を接待して自社で新作を出してもらうことが、出版社の仕事だった時代。賞や話題性で本を売る時代。そしてイベント化して本を買うことそのものを体験化する時代。みたいな感じで出版業界の変化も楽しめた。
ネットが出てきて流通の形態が変わっちゃったら、それまでの供給の仕方も変わらざるをえない。今、実際の出版社とか出版業界ってどうなってるんだろ?そっちの現実のほうも気になったなあ。
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