スマホ的なデバイスが生体に埋め込まれているようです。ARっていうやつですか。現実拡張仮想現実。現実の視覚でみた映像の上に操作画面や再生画面、データの表示がされる。他人とデータ共有とかも、とくにケーブルをつなぐとかはないです。
画面上で操作して送るってやるだけ。画面操作もマウスやジェスチャーとか一切なしで思うだけでいい。脳内に記録計算通信デバイス一式が埋め込まれてるようです。生体ナノマシンかなんかですかねえ。なので絵面がおもしろいんですよ。みんな集まって捜査会議とかやってんだけど、手ぶらで椅子に座ってるだけ。
こういうSF描写はけっこう好きですね。それでお話は連続殺人事件を刑事が追う話です。すべての人間が視界からのデータを記録してるから、殺人とかできない社会になってるのに、立て続けに殺しが発生。被害者のデータを見ると殺されるときに視覚をのっとられて、犯人目線の映像を見せられていた。犯人の姿が写ってない。
そんで刑事のクライブ・オーウェンが捜査していくと、データが一切ない謎の女アマンダ・セイフライドが容疑者に浮上する。街歩いてたら、風景や人物にキャプションが表示されるのに、アマンダ・セイフライドはアンノウンって表示される。
アマンダ・セイフライドはハッカーで掲示板でデータ消去の仕事を請け負っていた。それでクライブ・オーウェンが偽のデータで身分を偽装して、アマンダ・セイフライドに仕事を依頼して接触するってわけ。
殺人の犯人は誰なのか。アマンダ・セイフライドの正体は?っていうクライム・サスペンスなんすけど、中身はエロティックスリラーって感じです。なんかやたらとエロティックです。
クライブ・オーウェンがアマンダ・セイフライドに情報消去を依頼するために、高級娼婦とのプレイをするとか、それってわざわざ裏のハッカーに高額払って依頼するようなことなのか疑問だし。もっともっともらしい偽装あったんじゃないのかなあ。
クライブ・オーウェンが刑事じゃなくて、ただのスケベオヤジにしか見えない。でも、みんなわたしのおっぱいに見とれて気がつかなかったのに、あなたはそうじゃなかった、さすがねって言われてたので、クライブ・オーウェンは冷静に任務をやってた優秀な刑事だったわけですが。
古いクラシックなフィルム・ノワールをSFな味付けで一風変わった感じに見せてくれたおもしろいサスペンスでした。視覚情報を監視されているのをかいくぐるために、目をつぶったままにして寝てると思わせておいて、目をつぶったまま部屋を出て監視者に近づいてパンチするとか、アナログな感じでハイテク社会の裏をかくのが古臭くておもしろい。
これはSFとして見るんじゃなくて、古いタイプのタフガイハードボイルド映画として見て楽しむのがいいですね。
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