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幻の急行列車の車窓から見える風景のような短編集『東京モンタナ急行/リチャード・ブローティガン 藤本和子訳』【読書】




作品と作者の関係って不思議ですよね。作品はたいして好きになれないのに、作者の生き方はなんか共感できて、知り合いでもないのに作者に親近感を覚えてファンになったりする。作品よりも作者の生き様のほうが残した作品よりも作品らしかったりする。

リチャード・ブローティガンはそういうグループに属する作家だと感じています。チャールズ・ブコウスキーもそうだ。

そんなリチャード・ブローティガンの本を読んでみました。題名がいいじゃないか。東京モンタナ急行。なんとも旅のムードが盛り上がる。東京とモンタナを結ぶ急行列車。モンタナってどこ?って感じなんすけど、なんか日常と非日常をむすぶ特急列車のような気がする。

中身は短編集です。短いものは数行で終わる。長いものでも数ページ。そういう散文、エッセイ、日記ともつかない短文がずらずらと並んでいます。どれがどうとか、どれがおもしろいとか、そういうんじゃないんだよなあ。

急行列車に乗って、次々と通過していく途中駅を車窓から見送っていくような読み方をしたい。ひとつひとつの短編が通過駅なんだ。下車してじっくり見物することのない通過駅のような文章たち。

たくさんの短文を通過していくことに、一種の快感を覚えてくる。まあ、おもしろい話なのかというと、ところどころおもしろいところもあるといった程度。単体で大げさにほれ読んでみろと出されたら、なんだこれはとつまらなく思ってしまうようなもののほうが多いのだが。

一番おもしろいのは目次じゃないのか。目次にならぶ題名たち。なにかを想起させるような短文が並んでいるのが、詩のように見えておもしろい。本文よりも目次が、おもしろそうというイメージを呼び起こす。

これは旅に似ている。地図を広げ、見知らぬ街を結び、ここからここへ行ってここへ。ここはどんな街でどんな風景なんだろう?ここには何があるんだろう?そうやって旅の計画を立てるときが一番、旅をしている瞬間であると思う。

実際に旅に出てしまえば、考えなくてはいけないことや、やらなければならない雑事に追いかけられて、ゆっくりと旅気分にひたることなどできないのだから。

本を読むのも同じで、読むと文字面を必死で追いかけて、文章の意味を必死で理解しようとする。とてもとてもイメージの世界にひたって面白さの世界に遊ぶことなどできないのです。



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