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悪女にはまって事件に巻き込まれる探偵
「エロティックな関係」っていう宮沢りえと内田裕也とビートたけしが出てて若松孝二監督の映画があったけど、あれとなんか関係あるのかなと思ったら、「エロティックな関係」はこの「エロチックな関係」のリメイク作品だったんすね。無料動画のGYAO!でやってたのを見てみました。エロティックのほうは、パリが舞台だから異国ムードの映画だったけど、こっちのエロチックは70年代の日本のムード満点です。1978年の映画。監督は長谷部安春。長谷部安春監督といえば、猟奇。
最後は猟奇ムードあったなあ。出演は、内田裕也、加山麗子、牧ひとみ、田中浩、岡尚美、梓ようこ、田島はるか、西村昭五郎。ジョー山中、安岡力也が友情出演です。ジョー山中が歌うフラワー・トラベリンバンドの「メイク・アップ」がなんかディープ・パープルみたいでかっこよかった。安岡力也はスポーツクラブの用心棒役です。
ストーリー
お話は探偵が浮気調査の依頼をうけて、調査をしていくうちに、謎めいた女にふりまわされ事件に巻き込まれていく話です。レイモン・マルロー「春の自殺者」っていう小説が原作。ハードボイルド小説ですかね。
内田裕也が探偵。仕事なくて借金まみれ。助手の女とハメる毎日。暇だからね。そこに羽振りのいい金持ちの男から、愛人の女の浮気調査の依頼がくる。前金でぽんと30万円くれるいい客に喜んで浮気調査するんだけど、対象の牧ひとみに内田裕也は惚れていく。
何人もの男と欲望にまみれたプレイをする牧ひとみ。いつしか内田裕也は彼女に魅入られていく。彼女のほうも内田裕也に接触してきて、二人はいい仲に。強請、殺人に巻き込まれていく内田裕也。
危ない女に惹かれる男の性
見ててさ、いや、この女あやしいっていうか、やばいだろって思うんだけど、内田裕也は牧ひとみに夢中なんすよ。浮気調査で彼女のことを見て、覗いているうちに、最高の女だみたいになっていく。目にしてるもの、よく観察しようとするもの、がいいものに見えてくるってありますよねえ。
危険にはまっていってるのに、抜け出そうとしない。そんな内田裕也を救うのが、助手の女、加山麗子です。このキャラクターがいい。かっこいい女なんだ。最初出てきたときは、ただの助手の女だと思って、中盤は、ほとんど出てこなくなるんだけど、後半内田裕也を救うためにやってくる。
どうも牧ひとみがおかしいと、彼女のいる別荘地に向かう内田裕也と加山麗子だが、内田裕也がまだ牧ひとみの呪縛にかかったままだと見た彼女は、車をとめて服を脱ぐ。こっちを見て、目を覚ましなさいよと、内田裕也に自分を抱かせるわけ。男前やなあみたいな。
牧ひとみをボコボコに殴ってしばき倒すのも、男前です。別荘地で内田裕也が撃ち殺したと思った田中浩が生きてて、ショットガンで内田裕也を撃とうとするんすけど、加山麗子がガバメントで応戦するシーンも、男前なんすよ。
ショットガンを連射する田中浩、ガバメントを連射する加山麗子、双方、身を隠すこともせず、微動だにせず、仁王立ちで撃ち合うんすよ。すげえ。どちらも気持ちの上で一歩も引いてない。そして相討ち。
内田裕也はそこまでやった加山麗子をほっといて、自分をかばって死んだ牧ひとみをお姫様抱っこして別荘をあとにするって、どういう男なんだよみたいな。いやいや、そこは加山麗子を抱っこでしょって。どこまでもダメ男だなあって思って。
夢のようないい女はすぐそばにいた!
留置所に入ってる内田裕也に弁護士の面会がある。内田裕也が行くと、そこには死んだと思ってた加山麗子が立っていた。足にギプスしたり杖ついたり大怪我してるけど、元気そうです。
いや、あれ絶対死んでたと思ったけどね。タフなんだなあって、探偵ハードボイルドの主役がやることを全部、加山麗子がやってる。女をぶん殴り、悪漢と銃で撃ち合い、事件の真相を暴いて解決する。
それって主役の探偵がやることじゃないのかみたいな。主役であるはずの探偵の内田裕也は、女にうつつを抜かしてただけというね。弁護士を雇って、内田裕也の容疑も晴らして事件の解決までして、この映画の裏主役は加山麗子だった。
できる女。できる古女房っていうやつですかね。あんたと離れられないのよって加山麗子はいってましたけど、こんだけできる女に惚れられる男は幸せですね。だらしない毎日につきあってくれて、他の女に夢中になっても目が覚めるまで待ってくれて、面倒事の後始末までしてくれる女。
彼女こそ夢の女だったわけだ。近くにいすぎて、存在が近すぎて、夢の女をもうすでに手に入れていたことに気がついて、内田裕也はニッコリです。
いやあ、なかなかいい話だったですね。「エロティックな関係」と「エロチックな関係」。どちらも内田裕也だけど、テイストがまったく異なるので見比べて楽しむのもいいかも。自分はエロチックな関係のほうが面白かったかな。
DMM動画:エロチックな関係