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雰囲気映画。
ムードの映画。
これといってなにかあるわけじゃない。
森田一義が幼女を誘拐してあちこちさまようだけの話。
それだけなんだけど味があるんだよなあ。
いやあ、こういうムードだけの映画は苦手な人は苦手だと思います。
なんだよ、退屈でなんにもないじゃんってなる。
でもこういうムードだけの映画ってけっこう好きなんですよねえ。
退屈なのがいい。
それといいのが行く先々で出会う人と語らうシーンですね。
焚き火を見ながら話したり、
銭湯で話したりとかね。
ゲスト出演でいろんな人とタモリが語らうシーンが
ところどころに挿入されてる。
まるで笑っていいとも!のテレホンショッキングじゃないかって
笑っちゃったけどね。
山下洋輔とジャズはいいねとか語り合ったり、
伊丹十三が躁病とうつ病について語ったり、
川谷拓三と語ったりとタモリと対談するような感じで出演する人たちの他、
居酒屋のシーンで客として写り込んでるだけの
淀川長治とかもいます。
タモリの弾くピアノがとってもいいわねと褒める竹下景子。
旅館で布団をしいてくれる人は宮本信子。
バーでプレイボーイのマスコットはなぜうさぎか知ってるかと話すのは根津甚八。
バーの女の子は高見恭子。
質屋の主は小松方正。
タクシー運転手は佐藤B作でバイクのあんちゃんは所ジョージ。
そんな感じでゲストがたくさんです。
タモリがめちゃくちゃ若い。
髪の毛もいっぱいある。
サングラスをしていないタモリが見れる。
幼女をのせて二人のりで自転車をこいだり、
森の中でトランペットを吹いたり、
ピアノを弾いたり。
なんてことないシーンしかないんだけど、
なんだかとっても絵になってるのは、
監督の浅井慎平が写真家だからだろうか。
無理にドラマ映画を作ろうとしていない。
活動写真として絵になる絵だけを追うことにしてる。
その潔さが良いムードを醸し出してるんだろね。
ロードムービーらしいロードムービーだったなあ。
海が見たいという幼女をつれて東京を出る。
あちこちいってもう東京に帰ろうかってなると
今度は雪が見たいと北海道。
子供が行方不明と事件になってるんだけど、
その誘拐事件は別に話の主題ではない。
タモリと幼女があちこち行くというイメージが先にあって
そこにゲスト出演者たちとのシーンをはめこんだみたいな。
古い映画なのになんか今風に見えちゃったな。
ソロキャンプとかグランピングとかベランピングがはやってる今の時代に
なんだかムードがフィットしてる映画ですね。
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