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原田眞人監督デビュー、映画愛にあふれる青春映画『さらば映画の友よ インディアンサマー』【映画のネタバレ感想】




いやー、こんな映画あったんだ。

けっこう面白かったです。

原田眞人監督のデビュー作らしいです。

デビューでもうこんな完成度高いんだ。

なんかいい味でてる映画っていうかね、

映画愛のある映画で楽しかったです。

今のシネコンとかVODとかが映画っていう時代の

はるか昔の映画。

映画館が汚くてしょんべんの匂いがしてくるような

薄暗い空間だったときのムードが満載。

60年代後半から70年代のムード。

商店街の風景や映画館のうらぶれた感じ。

車やバイクのレトロ感。

赤電話。

ザ・タイガースやザ・テンプターズなどのGSや歌謡曲が

挿入歌で自然に聞こえてくるのもいいんだなあ。

川谷拓三と重田尚彦のW主演。

川谷拓三は映画キチガイ。

二番館の常連でいつも決まった座席に座って映画を見る。

おしゃべりにうるさいギャルたちに

本気でうるさいと注意するような男です。

ファッションはアメリカン・ニューシネマのダスティン・ホフマンみたいな感じ。

重田尚彦は浪人生の映画キチガイ。

そんな二人の映画狂が出会って、友情を育む。

中年オヤジと浪人生の凸凹コンビがまさに

アメリカン・ニューシネマっぽい。

さらにそこにスケバンの女の子との

出会いが加わって物語が展開するみたいな話です。

ボーイミーツガールっていうやつですね。

ずべ公役は浅野温子。

またこれがいい感じなんすよ。

手に挟んだカミソリでケンカ相手を切り刻むやばい女。

重田尚彦が惚れちゃう。

童貞は彼女に捧げるぞと純情な愛情をぶつける。

やっぱさ、バイクの二人乗りっていいですね。

若い男と女がバイクの二人乗りして走ってるっていうだけで

なんだか映画だなって感じする。

ノーヘル。

昔ってバイク、ヘルメットかぶらなくてもよかったんだっけ?

浅野温子はややこしい女なんすよ。

ただの学校辞めた不良少女ぐらいかと思っていたけども、

彼女はヤクザの情婦なのです。

キャバレーで働いてるのを、川谷拓三が重田尚彦にばらす。

浅野温子にお熱になってる重田尚彦を見て

友情にひびが入るのが嫌だったのか、

川谷拓三は浅野温子の正体を暴露するのが

なんか男の嫉妬のいやらしさって感じでわかるなあ。

それでも俺は彼女をヤクザから取り戻してやるんだと

いきまいて彼女とベッドインするんだけど、

背中に立派な入れ墨まではいってるのを知って中折。

すでに彼女はここまで汚されていると、ドン引きして、

恋が破れた重田尚彦は

彼女をそんなふうにしたヤクザが殺したいほど憎いと

川谷拓三に愚痴る。

それで川谷拓三は銃を手に入れて殴り込みに行こうというんだけど

重田尚彦は、ほとぼりがさめるまでということで

父親が台湾に旅行させて、そこで女を何人も知って帰ってきてるので

もうそんな仇討みたいなことバカバカしくなってるんすよ。

そんな映画みたいなことできるわけないって突き放す。

そこが二人の友情の分かれ道。

最後はタクシードライバーです。

川谷拓三がヤクザの親分の家に一人で殴り込みに行って戦闘になるんです。

この時代の銃演出といえば、トビー門口。

トビー門口が参加してるからなのか、なかなかいい迫力なんすよ。

キャバレーで歌ってたのがトビー門口氏だったっけ。

銃が暴発して川谷拓三の指がちぎれ落ちて

その指を拾ってポッケにしまうとか、けっこうな生々しさです。

おかしいのが、この殴り込みは誰も望んでないし、

誰からも有難がたがられない殴り込みなんですよ。

もう笑っちゃう。

悲しくて笑えてきちゃう。

重田尚彦は失恋しただけなので殴り込みなんてしてもしかたない。

童貞を捨てたら浅野温子へのこだわりなんかなくなってしまった。

浅野温子は無理やりヤクザの情婦になってるわけじゃない。

石橋蓮司から逃げたいと思ってるわけじゃない。

それでも川谷拓三は殴り込みを決行する。

いったいなんのために?

誰のためでもない、誰にものぞまれてない凶行。

映画の主人公なら、こうする、映画ならこういうエンディングになるという

映画に狂った人間の意地のようなもので突き進む。

やっと自分に主役がまわってきたと川谷拓三は思ったから実行した。

そんな感じしましたね。

映画にとりつかれた男の悲しさというか。

なんか川谷拓三はもと俳優っていう設定なのかな?

重田尚彦が川谷拓三が過去に高倉健の任侠映画でやられ役で

でてたんじゃないかっていうシーンがあった。

映画で俳優として名を成すという夢に破れた元大部屋俳優。

それでも映画からはなれられずに映画キチガイになった男。

それが川谷拓三だったのかなあ。

なんか暗くて悲しい60年代70年代のムードが味わえる映画でよかったなあ。

こういう時代の空気が充満してる映画って、

時間がたってからのほうがおもしろく見れますね。

室田日出男もいい味だしてんだよなあ。

オカマ口調で珈琲店やってる重田尚彦の父親役。

オープンリールでジャズを聞きながら、観葉植物に水やりしてるシーンとか

うわー、なんでもないシーンだけど、

やたらかっこいいみたいな。

なんかいいですね。

みんな悲しいことがあるんだけど、気取ってかっこつけて

つっぱって毎日をやりすごしてる。

その感じが粋に見える。

未来の希望に溢れてるわけでもないし、

うまくいかないことばかりで幸せそうにはみえない人々だけど

なんかかっこいい生き方してるなあって思える。

気取りの美学っていうかねえ。

映画が気取りの教科書だった時代のムード。

いいね。



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