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しかしてその実体は……、正義と真実の使徒、藤村大造だ!
え?誰?藤村大造ってなりました。
最後のクライマックスシーンで、小林旭が正体を明かすんだけど、
藤村大造って誰やねん?ってなったなあ。
題名が多羅尾伴内だから、てっきり多羅尾伴内が実体で、
眼鏡でヒゲでちょっと冴えない感じの探偵、
多羅尾伴内がいろんな変装をしているものと思い込んでいたけど、
多羅尾伴内は藤村大造が変装する中のひとつのキャラだったんだ。
なんで題名が藤村大造じゃなくて多羅尾伴内なのかな?
まあ、多羅尾伴内でいる時間がほとんどでしたけど。
それにしても、小林旭がチョウ・ユンファに見えて仕方がなかった。
多羅尾伴内時の小林旭はほとんどチョウ・ユンファといってもいいぐらい
チョウ・ユンファ度が高かった。
最後にはちょっと2丁拳銃したりもするし。
印象に残ったのはそれぐらいですかねえ。
いろいろと変装するんだけど、
時代錯誤な感じがしたなあ。
隻眼アイパッチしてる運転手とか、せむし男とか、
いやー、ちょっと現代にはマッチしないキャラじゃないですかね。
江戸川乱歩の猟奇の時代ならそういうキャラクターが
出てきてもすんなりなじむんだろうけど、
この映画の時代設定は昔じゃなくて現代だからなあ。
変装するにしてももっとなんか現代風のキャラにしてほしかったですね。
1978年製作だったらヒッピー風のキャラとか出してほしかったなあ。
小林旭がドレッドヘアでラブアンドピースで
煙まみれとかそういうの欲しかったです。
仮面をかぶった謎の敵が出てくるんだけど、
その仮面もなんか古いというか、ヒーロ戦隊ものとか
金田一少年の事件簿とかに出てきそうなレトロな仮面で
こいつが出てくると一気に画面がマンガっぽくなってしまう。
現代的な部分と昔なレトロな部分が混在してて
まったく気味の悪いムードをかもしだしてる。
そこがこの映画の面白いとこではあるけども、
いやおもしろいというより、おもしろがれるかどうかってことだね。
鈴木則文監督ならではのやりすぎな感じのエログロもある。
胴体真っ二つになるシーンとか、
自動車で執拗に何度も轢いて止めをさすとか。
そこをおもしろがれるかどうか。
自分はちょっと映画としてはきつかったですね。
ところどころおもしろいとこがあったけど。
面白いというより、あ、警察署長の役で水野晴郎が出てる!とか
そういうおもしろがり方ですけどね。
八代亜紀が出てきて歌ったりとかさ。
後半歌謡ショーがあってそこにアン・ルイスがでてきたり、
あ、ピンクレディーが出てきたと思ったら
キャッツ・アイっていう二人組で違ったりとか
そういうとこをおもしろがる見方をしちゃったな。
安部徹、天津敏、成田三樹夫など
おなじみの悪い顔した悪役たちのあくどい顔を楽しんだりとかさ。
お話は終わってみれば簡単な話のようだけど、
映画を見てるあいだは何がなんだかよくわからない。
夏樹陽子が恨みをはらす復讐の話と池部良の悪巧みの話が
ごっちゃにからんでるからなんだかよくわからないのかな。
まあ、お話の筋を楽しむより、
時代のはちゃめちゃなムードを楽しみたい映画でした。
やっぱ70年代、80年代はカオスな映画が多いですね。