なぜか石原裕次郎主演のボクシングアクション映画
っていう紹介になってるけど、
主役は三橋達也。
それにしても裕次郎が若いです。
晩年の顔がまんまるになって
疲れ切った感じの石原裕次郎のイメージしかない人が
これ見たらびっくりするんじゃないか。
ボクサーの役なので裸で拳闘してるシーンがいっぱいあるんだけど、
軽快に生き生きとバウンドする全身の動きが
ほんと若さいっぱいで勢いあるんだよなあ。
体形もめちゃめちゃスリムでほっそりしてて
飢えた狼みたいな石原裕次郎なんすよ。
ジャックナイフみたいに尖ってますね。
このころはまだデビューしてまもなくて
人気が爆発する前だったかな。
ワイルドでかっこいい裕次郎ですね。
役名が俊太郎なんすけど、
聞いてると慎太郎に聞こえてなんだか笑えます。
石原裕次郎が兄貴の石原慎太郎の名前で出てるみたいで。
まあ、そんなかんじでビジュアル的なインパクトは
石原裕次郎がかっさらってるんだけど、
物語は三橋達也が主役なんすよ。
ボクサーでチャンプを目指していた三橋達也だったが
夢叶わず引退。
婚約者の南田洋子の父親のコネでキャバレーの経営をやって
お金には困らない暮らしをしているが
ボクシングでチャンピオンになるという夢を諦められずにいます。
それで有望な若いボクサーを見つけては
スポンサードするということをやってるんすよ。
自分が叶えられなかった夢を若者にたくして叶えようってわけ。
南田洋子はそろそろあきらめてちゃんと結婚しましょうというんだけど、
三橋達也はあきらめられない。
次で最後ということで石原裕次郎を後落としすることにするわけ。
ハングリー精神があり、ボクシングの腕もある。
こいつは有望だってことでね。
それと並行して、三橋達也は北原三枝も支援します。
バレエダンサーを目指して上京してきたが
生活に追われバレエのレッスンどころじゃなくて
もう田舎に帰ろうかっていう北原三枝。
じゃあ、ぼくが生活費を出すから
バレエにおもいっきり打ち込んでみなさいと
なにも見返りを求めず援助をします。
夢破れた三橋達也が、夢を託して
若い石原裕次郎と北原三枝に援助する。
ここに恋の三角関係がはいりこんできて揉めるっていうわけ。
恋が夢をつぶすって三橋達也は思ってる。
南田洋子との恋愛が重荷で自分はチャンピオンの夢を逃したと思ってるんすよ。
だから色恋は、それぞれ独り立ちできてからにしろよって
北原三枝と石原裕次郎に言うんだけど、
若い二人がいうことなんかきかないわけで。
石原裕次郎は北原三枝にぞっこんラブ。
北原三枝は三橋達也に惚れている。
三橋達也を先生先生といって慕ってる。
三橋達也は南田洋子と北原三枝のあいだをふらふら。
結局、色恋ごとでもめて北原三枝は去り、
石原裕次郎も去っていく。
北原三枝は舞台で主役を演じるようなダンサーになって成功。
石原裕次郎もボクシングでチャンピオンになって成功。
三橋達也が夢をたくした若者が夢をかなえたわけですけども、
そこで三橋達也は気がつくのです。
勝利者は彼らであって俺じゃない。
夢を叶えたのは彼らであって俺ではないってね。
俺は負けたんだって、
ここで初めて自分の敗北を認めることができる。
北原三枝も石原裕次郎も去り、
一人になった三橋達也だが、南田洋子が待っていた。
これで気が済んで新しい一歩に踏み出せるわねってな感じで
二人で去っていくのであった、了。
完全に三橋達也の物語です。
敗北を認める物語。
石原裕次郎のボクシング映画ではないです。
まあ確かに石原裕次郎のボクシングを描く時間はたっぷりとってあるし、
北原三枝のほうもミュージカルシーンがあったりして
こっちも登場時間は多い。
なので後半、三橋達也の影は薄いですがね。
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