平凡な家庭の主婦が流れ流れてどこにもたどり着かないみたいな話かな?炭鉱町の貧困世帯の主婦が主人公。いきなり夫から三行半。離婚調停の裁判とかになってんの。裁判に遅刻するワンダ。頭にカーラー巻いたまま寝巻きのようなかっこうで裁判所に現れる。
夫が彼女はまったく主婦としての役目をはたしてない、子育てもやらない、だから離婚したいと主張。それを受け入れてあっさりと離婚。そして家を出るんだけど、着の身着のままです。お針子で雇ってもらおうと思っても、あんたは仕事が遅いから雇えないと言われる。
喫茶店で飲んでると、セールスマンにナンパされてすぐベッド・イン。わたしも連れってってと追いすがるけど、男は逃げていきます。ワンダという女性は自分の意志というものがあまりない女性として描かれてる。
なんかぼんやりして佇んでいると、変な男はよってくるみたいな。行く宛もないので、映画館で時間を潰すと有り金すられてしまう。文無しでおとずれたバーでは、偶然バー強盗中の男がいてそいつとなぜか道連れになる。
またこの男がわけがわからない男なんすよ。流しの犯罪者なのか、移動しながらあちこちで盗みとかやってるケチなやつ。そんなわけのわからない男と一緒に行動をともにするワンダ。
突然頬をはたかれたり、ハンバーガーは玉ねぎ抜きだと言っただろと罵られたりするんだけど、ワンダは逃げない。なんでこんなやつと一緒にいるんだよみたいな。
なんだよこれ?みたいな。変なムードの二人のロードムービーが展開していく。これがかなりきついです。行き場のない女、犯罪者の男、そういうどん底の男女が目的地もわからずさまようロードムービーはよくある形式だけどね。
なんか見てられない。ワンダが何を考えているのかよくわからないので、どういうことなんだろうって不思議に思ってしまう。彼女がどうしたいのかがよくわからない。
それで最後は男は銀行強盗をする。その手伝いをさせられるワンダ。させられるっていうのか、なんなのか。やっぱりこんなことできないって一度は拒否するワンダなんすけど、男に強引にやれると言われて、じゃ、やりますみたいな。
こういうのは意志が弱いというのかなんというのか。それで頭取の家族に爆弾を見せて人質にしておいて、頭取と一緒に銀行にいって金庫をあけさせる。そこまではうまくいったけど、金庫があいて警報が警察にいってすぐに警官がかけつけて男はやられてしまう。
ワンダは交通取締りの警官につかまってちょっと足止めくらって遅れてしまったので、捕まらずにすみます。で、ああよかった~、変な男にひっかかって大変なことになるとこだったと安堵するでもなく、男のあとを追うでもなくです。
どうしようどうしようみたいな、オロオロするだけ。
また、一人になったワンダはいつもの、どうしようどこにも行く場所がないという意志薄弱な態度でさまよう。すぐに男がナンパしてくる。でも今度は逃げます。彼女も学習したのかな?
そして最後はぼんやり佇んでいるところを、こっちおいでよって言ってくれた女にさそわれてバーで騒ぐ男たちにまじって飲むワンダでおしまい。彼女はいったいどこへいくのか。それは彼女自身知らない、みたいな。
これはけっこう映画史的には重要だと思われてる作品らしいです。そう言われたら、70年代の行き場を失った女性を表現した名作のように見えてくる。家庭の主婦としておさまるのも、外で働いて仕事に生きるのも、どちらも自分の居場所ではないような宙ぶらりんの心境を見事に表した傑作みたいな。
映画の裏にある時代背景や意味合いみたいなものを考えて鑑賞するとけっこうおもしろく感じちゃう映画かもしれないですね。まあ、普通に見るとかなりきついですけどね。