タランティーノのなんか奇人変人すれすれな変なキャラクターたちがわちゃわちゃする系はあんまり好きになれない。「パルプフィクション」とか「キル・ビル」とか。最近の作品とか。やっぱり「レザボアドッグス」とかこれとかのほうが好きだなあ。
サミュエル・L・ジャクソンが武器商人で、お金の運び屋としてCAのパム・グリアを雇っていた。ATFのマイケル・キートンがサミュエルを追っててパム・グリアを糸口にサミュエルを逮捕しようとする。
パム・グリアは追い込まれちゃう。マイケル・キートンに協力してもサミュエルにやられちゃう。サミュエルに従ってマイケル・キートンとやりあってもムショ行き。そこでどちらともをだまして人生再スタートのお金も手に入れる計画をたてて実行する。
中年にさしかかった人間の一か八かの勝負所ってかんじの話です。
この計画の相棒に選んだやつがいい感じの味があるおじさんなんだ。保釈金貸出業やってるロバート・フォスター。サミュエルがパム・グリアを保釈するときに使った業者。このおじさんがいいやつなんだよねえ。
パムに一目ぼれ。中年をすぎたちょっとくたびれかけてきたおじさんなんだけど、なんとも紳士的で純な感じが、いいやつだなあって。このおじさんもおれの人生なんなのか、ここらで別のことしてもいいんじゃないかって中年の憂鬱を感じてる。
だからパム・グリアーの話にのることにするんすよ。
サミュエルの相棒役でロバート・デ・ニーロが出てくる。なんかぼやっとしたどうでもいいキャラだなあって思って見てたら、最後のほうでブリジット・フォンダをいきなり撃ち殺してびっくりです。馬鹿にしてくるブリジット・フォンダをあっさり撃っちゃう。
なんかぼんやりしたやつに見えたのに、こんな危ないやつだったのかっておもしろかった。まあ、サミュエルはもっと危ないやつですけどね。最初のほうで、クリス・タッカーをあっさりと殺すし。デ・ニーロも殺すし。
人がけっこう簡単に死ぬからシリアスではあるんだけど、微妙にしょぼいんですよ。金額も50万ドルで大金は大金だけどものすごい金額じゃない。マイケル・キートンも大規模なチームで捜査にあたってるわけじゃなくて、監視とかあんまりしてない。
そんな感じで登場人物が大物じゃなくて小物というか普通のひとたちなのがいいですね。犯罪の舞台もいいんですよ。イオンモールみたいなショッピングモールがお金の受け渡し場所。フードコートとかファッションフロアの試着室とかが現場になってる。
ローカルだなあ。こういうローカルな風景の中で小物たちの犯罪が進行していく。この地元で起きてる事件感が良いです。
音楽もよかったですね。デルフォニクスの曲がフューチャーされててパム・グリアが部屋できいたり、おじさんがカーステでカセットで聞いたりする。サミュエルがおまえデルフォニクス聞いてんのかってちょっと驚いて、おじさんがいいもんだってかえすやりとりとかある。
サミュエルといえばファッションもおもしろかった。ゴルフウェアなのかな?ゴルフやりにいくみたいなかっこうしててなんかおしゃれでした。なんかしゃれてるんだよなあ。映画全体も。
いやー、よかったなあ。でもタランティーノ作品のなかではぜんぜん人気ない作品でしょうね。最後、中年のおばさんと中年のおじさんがチュウして名残惜しそうに別れていくっていうシーンなのも、大人ですよねえ。これは渋みがすごい。
十代、二十代の若者にはまったくおすすめできない。この映画は中年になってから見るべきですね。