宇宙飛行士のブラッド・ピット。死にかけるほどの窮地に陥っても冷静沈着。心拍数はいつも平常。彼がなぜそこまで平常心でいられるのか。感情を押し殺して生きてきた。父親のトミー・リー・ジョーンズは英雄的宇宙飛行士で地球外生命体を探索するために外宇宙へいってそのまま行方不明になっていた。
宇宙飛行士として高名な父親の背中を見て育ったブラッド・ピットですが父親と幸福な思い出というものがありません。ブラッド・ピットが宇宙飛行士になったのは、父に認めてもらいたいという欲求からかもしれません。
で、サージとかいう電流だかなんだかの現象がおきて地球に被害が拡大していた。その電撃の発生元は、トミー・リー・ジョーンズが消息不明になったところあたりだとわかる。死んだと思っていた父が生きている。
宇宙軍から秘密の作戦任務を命じられるブラピ。火星だっけ。そこから父にメッセージをおくる。サージの原因になってるトミー・リー・ジョーンズを説得する役目かな。説得に効果なしということでブラピはお役ごめんになるんだけど、核爆弾でトミー・リー・ジョーンズを抹殺する作戦が進んでいることに気が付いて、ブラピは父親のもとまで行くことにします。
まあ、はるばる父親のもとへ行く間、月で山賊に襲われたり、救難信号をだしてる宇宙船を救助したら猿に襲われたり、いろいろありながらトミー・リー・ジョーンズのもとにたどり着きます。
生きてたんだ、お父さん、一緒に帰りましょうってブラピが言ってもトミー・リー・ジョーンズは帰ろうとしません。地球外生命体を探すミッションは結局、発見できず失敗だったのだけど、帰ろうというクルーにトミー・リー・ジョーンズが反対。抗争がおきてトミー・リー・ジョーンズ以外が死んでしまうという事態に陥っていたのです。
地球にふってくるサージの原因は、この争いで融合炉かなんかが爆破されたことの影響らしいです。
こんな遥か遠くまで息子がやってきて、一緒に帰ろうといっているのに、トミー・リー・ジョーンズはまったく聞く耳をもっていない。地球外生命体を探してさらに外宇宙へ行こうという。息子の気持ち、他人の気持ちですかね、そういうのをまったく考えない父の姿に、ああ、ダメだ、自分もこうなってはダメだと思うブラピ。
こんな遠くまではるばる会いに来たんだから、父もこの息子の気持ちをわかってくれるかもというかすかな希望を完膚なきまで打ち砕かれる。外にばかり目をやって、自分に身近な人のことに目を向けない生き方は良くないよと心底思ったブラッド・ピットでしたとさ。
いやー、なかなか地味な映画でしたね。
ブラッド・ピットがうじうじしてるシーンがほとんど。それだけだとさすがに観客が飽きるだろうということで、月面をカーチェイスするアクションシーンとか、一応動きのあるシーンも用意されています。
サルこえ~みたいな。
最初のほうの落下していく事故のシーンとかけっこうすごい迫力でよかったですけどね。あんな状況でまったく取り乱さずに冷静に対処して生還するブラピがすごい。
映画としてはいまいちなんすけど、父親と息子というテーマなので、自分の父親のことを少し思い出したりしたなあ。この映画のブラピと同じで自分も父親のことがよくわからないままでした。父が家族というものをどう思ってたのか、子供をどう思っていたのか。
親はもうだいぶ前に亡くなっていないので、今更確認しようもない。父親との距離が遠いまま、その距離は宇宙の果てぐらい遠いままだ。