大物二人が共演ということで、なにか期待をしちゃうけども、
これはダメだったですね。
雰囲気はいいです。
フランス映画の「冒険者たち」をやりたかったのかな?
勝新太郎に高倉健に梶芽衣子。
役者は揃ってる。
映像もなかなかいいんですよ。
のどかなロードムービーって感じで大人たちの休暇みたいなムードがあってさ。
役者も映像もいいけど、
お話がないのです。
話がなんもない。
高倉健や勝新太郎や梶芽衣子がぶらぶらしてるだけの2時間。
これはいったいどういうことだ。
企画段階、シナプスあらすじ段階で撮影に入っちゃったみたいな。
脚本なしで撮り始めましたみたいな感じです。
うーん、冒険者たちをやりたいなら、
いろいろあるはずなんですよ、話が。
アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、ジョアンナ・シムカスの
「冒険者たち」は
3人が出会って宝探しに出てその後悲しい別れがあってみたいな話で
すごくおもしろい映画なんすけど、
それを日本を舞台にやって
どうしてこうも退屈に仕上がるのか不思議でしょうがない。
どうも何もないんですよ、話が。
いや、話はあるんだけど、全然進まないというかなんというか。
梶芽衣子を足抜けさせるっていう話と、
勝新太郎が沈んだお宝を探すっていう話と、
高倉健が仇討ちするっていう話だったっけ?
それが全然別々に勝手に進んでいくので、
どうもばらけちゃっててまとまりがなさすぎです。
勝新太郎の演技はなかなかエモくてよかったけどね。
勝さんお得意のその場の思いつき撮影で
即興的に撮影されたのかな?
即興とか現場のノリとかは、
土台となる脚本や設定がしっかりしてるから生きるわけで、
土台なしに即興だけやっても
それはその場ではいいかもしれないけど
あとあと見れるものにはならない。
いい演技はしてるけど、
それが映画としてのお話と連動してないから
退屈にしか感じられない。
せっかくの勝新メソッドもちゃんとしたお話ありきでないと
魅力が半減してしまう。
任侠映画に出てくる高倉健そのまんまの
寡黙な任侠人を演じている高倉健だが、
どうも浮いているというか、
勝新太郎とのバディ感に欠ける。
そのときどきのエモーショナルを優先するアートムードが漂う作品でした。
うーん、いまいち見てられない映画なんすけど、
エモい映画ではあります。
勝新のエモさをたのしむ映画。
大人たちの夏休みみたいなエモさを好きになれるのならけっこういい映画かも。
のんびりしてる。
空気の流れが映画の中だけすごくゆったりしてますよ。
のんびりその空気の流れに付き合えるのなら
けっこう楽しめるのかも。
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