よく知ってる気になっちゃってる。これはよくないぞと思ってメメントをしっかり見直すことに。そしたらけっこうきつかったですね。50分ぐらいかな、それぐらいでもう見るのやめようかなって思うぐらいつまらなかった。
虚仮威し。
映像的におもしろいところないし、展開もおもしろいところないし、おもしろい事件もおきないし、なんだこれはと。予算もぜんぜんかかってなさそう。昔見たときも、退屈だなって思ったのかな。この映画の主人公みたいに記憶がないのでわからないけど。
ガイ・ピアースが妻を殺した男を見つけて復讐しようと探してまわる話。ガイ・ピアースは記憶障害で短期の記憶が10分ぐらいしかもたない。昔のことは覚えているし、日常的な知識は忘れてない。
それでメモとったり、ポラロイドで写真とったり、入れ墨で体に重要な事実を彫り込んだりしてます。そういう設定の男の行動を時間軸をいじって結末から少しずつ戻って物語の始まりまで逆回転で描いていく。
冒頭で誰だかわからん男を殺すシーンがあって、そいつとどうしてそういうことになったのかを描いて、またどっか別の人と会うシーンがあって、どうしてそいつとそこで会うことになったのかを描いて、また別の場所で目が覚めて、どうしてそこにいるのかを描いてみたいな感じで話が進んでいく。
最後にそういうことだったんだってわかる。
そういう話の進み方をするということがこの映画のすべてです。そのギミックだけがこの映画の存在意義。最後になにがおきていたのかわかったところで、おもしれーと感じることもなく、すごいと思うこともない。
むしろしょうもな!ってなる。
これ時系列を正しい順番に編集したらめちゃくちゃつまらん映画になるんじゃないの?結末から冒頭へ進んでいくから、なにかあるんじゃないかという思わせぶりなムードが醸し出されているけど、もともとの話がぜんぜんミステリアスじゃない。
ガイ・ピアースはすでに復讐をなしとげていた。しかも妻は暴漢に殺されたのではなく、妻を殺したのはガイ・ピアースだった。そのことを直視したくないガイ・ピアースは妻を殺した犯人を探して復讐するという永遠に終わらない物語の中に自分をとじこめることにした。
そういうことでしたっけ?なんか最後の方で、ジョー・パントリアーノがいろいろ説明するだけなのでわかりにくいけど、そういうことじゃなかったかな。
キャリー=アン・モスが出演してるのは覚えてました。でもてっきり奥さんの役だと記憶違いしてました。そうそうキャリー=アン・モス出てたなあ、奥さん役じゃなかったっけ?と思って見てたら違ってて、ただの麻薬ディーラー関係のビッチ役だった。奥さんを演じているのは別の役者さんだった。
ビールにカア~ッペ!って痰を吐いてガイ・ピアースに飲ませたり、どうせすぐ忘れて覚えてねえんだからと言ってペンを全部持っていってガイ・ピアースがメモとれなくするとか、性格悪い役でびっくりした。全然覚えてなかったなあ。
一度昔に見ただけだとぜんぜん覚えてないもんですね。覚えてないならまだいいけど、勘違いして思い込みで事実とは違うことを記憶してたりもするから面倒だ。
記憶は不確かだ。ガイ・ピアースが記憶は不確か、記録は確かだぞみたいなこと言ってたけど記録も都合よく改ざんされるわけだから確かなものなどなにもない。
よくさ、映画を見たあとにあれこれ話したりするじゃないすか。こういうシーンがあって、ここで俳優がこんな表情したとか、セリフでこういうこと言ってたのがよかったとかさ。それで10年ぐらいして見返してみたら、そんなシーンなかったりするんです。
印象的だと思った表情とかセリフとかが、記憶の中で勝手に作り出したもので実際はないって怖くないすか。記憶の中の映画と、実際の映画がぜんぜん違う。みんな多かれ少なかれメメントの主人公みたいなもんだね。
メモとったり写真とったりしても、ガイ・ピアースみたいに書類を黒塗りで改ざんしたり、自分の記憶が消えることを知ってて、未来の自分に嘘を教えて自分を誘導するなんてことをするんだから、記録も記憶も自分自身もすべて信用ならない。