ドラマ部分はけっこうよかったです。米兵たちの戦闘以外のシーンと戦闘時のシーンが交互に描かれていく感じ。ハリウッドの戦争映画っていっぱいある。それを見ていつも思うのが、兵隊たちの大学生ノリみたいなのが、どうもなあって。
大学生の体育会系サークルみたいなノリが描かれるでしょう、いつも。軽口叩き合って、それが行き過ぎて本気の喧嘩の殴り合いが始まったりするやつ。あれいつも見ててなんか違和感あるんだよなあ。
戦場に行ったらみんなああなるんだろうか。死の恐怖と人殺しのストレスにさらされたら、ああやって緊張を適度に逃がすレクリエーションが必要になるのかなあ。
まあ、よく考えたら兵士たちはみんな若い。高校卒業したてとか大学入りたてみたいな年齢のがゴロゴロいるんですよね。古参兵だってそんな年いってないし。それぐらいの年代の若者が集まれば、うぇーいノリでもおかしくないか。
通称ハンバーガー・ヒルと呼ばれる高地を奪取すべく主人公たちは進軍していく。辛いのよ。味方の爆撃機やヘリに座標を知らせて爆弾落としたり銃撃させたりするんだけど、手違いで味方を攻撃したりもするわけ。同士討ち。
丘の塹壕から機銃掃射してくるベトナム兵。とくに遮蔽物もないところを米兵は登っていくしかない。こんなの作戦でもなんでもないじゃんみたいな。
戦争映画ではたびたび高地をめぐる戦闘がとりあげられますね。やっぱ軍事戦略上、高地っていうのは重要拠点なんですかね。多大な損害と命をもって高地を奪取したからといって、じゃあ、アメリカは勝利したのかというとね。
そう考えると兵士たちはいったいなんのために命をかけたのかって混乱してきます。映画の中で兵士が語ってたけど、戦場で死ぬ思いして戦友が死んでいくのを見て、一時帰国すると反戦運動やってるヒッピーたちから人殺し呼ばわりで罵倒されたり嫌がらせされる。
嫁はよその男と浮気で自分を待っている家庭もなければ、傷ついた心を癒やしてくれる社会もない。命をかけてるのに、認められもしない、傷を癒やしてくれもしない、心が休まることがない。
戦場はもちろん、帰国しても緊張がとけることがない。そういう兵士の板挟み状態の苦しみが描かれてる映画だったなあ。
娼館の娼婦にアメリカの戦争と言われてかっとなるシーンも考えさせられる。ベトナムのための戦争に加わってるというつもりの兵士なんだけど、傍から見てる人には、アメリカが他国にずかずか入ってきて戦争してるというふうに見えている。
こりゃ兵隊はPTSとかなるのも当然だなって思ったね。戦場での悲惨さで精神が傷つくというのもあるだろうけど、命がけでやっていることの意義や正当性みたいなものが見つけられないから病むということもあるんだろうな。
俳優はほとんど知らない人ばっかりで有名人といえるのはドン・チードルぐらいだったけど、みんな普通の人っていうか、普通の若者って感じでけっこういい演技してましたよ。