ロスアンゼルスを舞台にした不思議の国のアリスってことなのかな?アンドリューガーフィールドは家賃滞納で追い出しくらいかけのボンクラ。仕事もうまくいかずこの先のあてもなにもない。
向かいの家にちょっとした美人ライリー・キーオが引っ越してきて、気になって覗いてたらちょっとなかよしになっていい感じとおもったら突然いなくなる。それで彼女の行方をアンドリューガーフィールドが探すってわけ。
なんかヒッチコックっぽい話でしょ。謎の美女があらわれて失踪してそれを主人公が探すって。それで、手がかりとして暗号っていうか、なんかそれ暗号なのかただのこじつけなのかって感じなんすけど、謎解きをアンドリューガーフィールドがやって、町の暗部に入り込んでいく。
それがダメ男が現実逃避したくて、無意味な謎解きゲームをやってるように見えた。ほんとうにそういう謎があるのか、主人公が現実逃避で作り上げてる虚構なのかよくわからない。
でも実際普通の人は見過ごす暗号にアンドリュー・ガーフィールドは気がついて解いていくことで彼女の居場所を突き止めるわけだから、普通の人にはわからないけど、見る人が見ればわかる暗号はそこらじゅうにあるっていうことなのかな。
ホームレスの王様とかヒット曲は全部おれがピアノで作ったとかいう謎の作曲家とか、地下で暮らすカルト教団みたいなのとかよくわからない人たちがでてくる。こういうのってリンチっぽくないすかね。
ヒッチコックとリンチが共作したらこんな新作映画ができるんじゃないかみたいな。なんか謎が好きな人にはかなりおもしろい映画のような気がします。このシーンのこれはこういう意味なんじゃないかみたいな楽しみ方をできる人には大御馳走です。
いやー、これって現実なのか妄想なのかどっちなのかなんなのかはっきりしてほしいなっていう人には長いだけの苦痛な映画になると思う。
なにが現実でなにが現実じゃないのか、全部現実なのか全部妄想なのかよくわからないもんね。犬を殺してるのは主人公じゃないのって思ったし。暗号や謎も、主人公が見聞きしたことから妄想してるだけじゃないのって思えるし。
なんかホームレス寸前で仕事もなければ彼女にも去られてお先真っ暗な男が現実逃避で考えた頭の中の物語っていう感じもするんだよなあ。だってさ、わかりやすい美人が引っ越してきて、どうみてもぱっとしない主人公に好意をもってくれてすぐいい感じになっちゃうとか、都合よすぎる話だもんなあ。
村上春樹の小説みたいな都合の良さを感じてしまう。ぱっとしない主人公なのに、なぜか美女のほうからやってきてあなた素敵よっていい感じになる。そして異世界に踏み込んで冒険する。ハルキっぽいなあ。
そして冒険から帰還した主人公は日常になにごともなかったように帰っていく。アンドリュー・ガーフィールドも美女探しで美女を探し当てたけど美女がいるなんかよくわからない地下世界には行かない。
結局、日常から異界経由で日常へ。とくに何も変わらない。なんかほんと村上春樹の小説みたいだ。