ジュード・ロウは12年服役して出所。ボスのことをちくらなかった報酬を受け取ってやったぞーってウハウハでドラッグに酒に女に酔っていたら事故って女にお金を持ち逃げされて文無しに。古いつてを頼って金庫破りの仕事を探すのだが……。
大きな仕事をする大泥棒とか犯罪グループの話じゃなくて、ひとりの小者犯罪者の人生を見せていくタイプの映画です。だから、ジュード・ロウの演技が見どころ。うまくいかない人生。家族が欲しい、誰よりも愛に飢えているのに、人を傷つけずにはいられない。
ジュード・ロウ演じるドムは犯罪者で野蛮で酒やクスリでぶっとんで取り返しのつかないことしてばかりでどうしようもないんだけど、どうも憎めないですね。
なんかシンパシーを感じてしまう。ここまで極端でないにしろ、自分の中にもドムがいるような気がしちゃう。何もかもうまくいかない。孤独で寂しいのが嫌なのに、なぜか他人につらくあたって人を遠ざけてしまう。
デリカシーないよなあって思いながら見てて、自分もそうだよなあって。だんだんドムが自分に見えてくる。ほんとに欲しい物なら大事にするはずなのに、なぜか失ってしまうような行動をとってしまう。
嫁や娘が一番大事って思ってるはずなのに、なぜか大事にしないんだよね。天邪鬼なことしちゃう。最初はジュード・ロウがはちゃめちゃやってるだけのイロモノ映画かと思ったら、最後はけっこうしんみりしておもしろいってなったなあ。
こういうダメ人間が主人公の映画を若い時は、ほんとダメなやつだなあ、ひどいって笑って見てたけど、年取ってくると笑えないんだよね。自分のほうがもっとダメだから。
こんなめちゃくちゃなやつでも、長年付き合いのある友達はいるし、娘もいるし、人とのつながりがあるっていうのに、自分にはそれすらもないと思うとなんだかなあって思っちゃう。