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希代の副大統領ディック・チェイニーの半生記『バイス(原題:VICE)』【映画のあらすじとネタバレ感想】




子ブッシュ大統領期の副大統領ディック・チェイニーの半生を描いた伝記映画。政治家って独特な人多いですよね。奇人というか変人というか、ちょっとどうかと思うような人が多い。その理由がこの映画を見て少しわかったような気がしました。

才能っていうか、資質っていうか、政治家に向いてる能力っていうのがあるんだなあ。責任を感じない能力っていうかね。自分の決定によって何万人、何十万人、何百万という人の人生を左右することになる。

そのことに重圧や責任を感じていたら、決定なんかできないし、政治家として権力をふるうことなどできない。間接的に大量に殺人し、権力を使い利益誘導して途方もない大金を懐に入れる。

まともな神経じゃとてもできないですよね。自分の決定で大きな結果がでる。多くの人が死んだり悲惨な目にあったりするかもしれない。しかもそれが正しい決定なのかはわからない。あとあと審判が下る。

そんなの普通の神経の人だと耐えられないです。政治家にどこか変な人が多いのは、そういう重圧の中で平気な人、そもそも重圧だと思わない、責任を責任だと感じない人が政治家になって生き残ってるからなんだなあと。おかしな感覚の人が生き残ってる世界が政治なんだなあ。

政治家って世襲じゃないですか。あれってさ、基盤とか知名度とかそういうのを受け継ぐためかと思ってたけど、権力の行使に責任を感じないような人間を育てて、親から子、孫へとそういう性質を濃く受け継いでいく意味でも世襲が都合いいんだなって思った。

政治家なんて権力の座について好き勝手やっていい気なもんだって思うけど、いやー、自分が権力の座についたとして、好き勝手にやれるのかというと無理だと思っちゃうなあ。目をつけていたイラクに攻め込むチャンスだと9.11を利用するだとか、利益誘導して私腹を肥やすとか、後ろめたくてビクビクしてできないだろう。

ディック・チェイニーはブッシュに請われて副大統領の職につくことにするんすよ。政界から引退して、大企業のCEOやって田舎でのんびり何不自由なく暮らしてた。副大統領って、大統領にもしものときがあったときのバックアップ要員であってなんにも権限もないしうまみもない仕事なのでやっても意味ないと思っていたんだけど、待てよ、これうまくやればおいしいかもと思う。

一元的執政府という考えを持ち出して、ブッシュと話する。ブッシュをうまいこと誘導して副大統領に権限をもたせることに成功する。ブッシュも全然大統領をやる気ないんすよ。ただ父親に俺もできるんだというのを見せたいだけで大統領になったもんだから、職務とか面倒臭いことやりたくないっていうね。

権力欲とかなくて、とにかくめんどくさいことやりたくねえみたいな。そこにディック・チェイニーがめんどうなことはこっちでやるからと言う。じゃあ頼むわって軽い感じでブッシュはチェイニーに自由にやらせる。

まあ、そっから影の大統領みたいにディック・チェイニーはうまいことやります。周到な計画と誘導で、そんなことおかしい、そんなことできないと思えるようなことも実現させていく。

富裕層優遇のために相続税を減税しようと考える。普通、そういうのは金持ち優遇だと庶民の反発で実現しなさそうって思うんだけど、相続税の名前を死亡税として名前をかえて世間に浸透させる、すると死んだやつに税金を払わせるとはなんてことだ、死んでまで税金払いたくないと有名人を巻き込んで死亡税反対が盛り上がり、相続税減税の法案成立。

そんなバカなって思うようなことを次々と実現していく。テロの容疑者は法的手続きなしに拉致拷問できるようにするとかさ。え?そんなことできるの?っていうね。議会の承認も法的な手続きも、全部すっ飛ばして、やりたいほうだい。

非常時だからっていうドサクサまぎれに法解釈をうまくやって抜け穴をついていく。それがなんか痛快ですらありましたね。副大統領についてから、チーム集めてあれこれ悪巧みして成功していくのが、犯罪サスペンス映画みたいで痛快な感じしました。やってることひどいけど、実現してるっていうところに感心してしまう。

たびたび出てくる一元的執政府っていう考え方はよく知らんけど、権限をトップに集中させようっていう考え方ですかね?大統領に権限を集中させてトップダウンで物事をすすめるみたいなことなのかな?権限をもってる大統領から権限委譲されてるディック・チェイニーが実質的に大統領と同格の権力をもつことになる。そういう仕組をディック・チェイニーがうまく作り上げた。

うーん、すごい。悪党としての魅力がすごい。ここまででかいことやった人ってそんないないんじゃないの?しかも大統領じゃなくて副大統領っていう影のポジションで。裏方で地味な存在であるはずのポジションでここまでうまくやれるとはっていう驚き。

映画としては伝記映画によくある総花的な作りでそんなおもしろいシーンがあるわけではなかったです。ノリのいいBGMや、遊びのある演出で退屈させないように頑張ってはいましたが、時系列にそってこんなことありましたっていうのを並べてるだけで内容的には退屈なものです。

主演のクリスチャン・ベールは映画によってほんと痩せたり太ったりガリガリになったりマッチョになったりと、身体改造が毎度すごいです。今回も太ってるというか、太り方も本人に似せた体型に太っててどうなってんのって感じで驚きます。


DMM動画で「バイス」を見る



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