京都ですかね、日本庭園とか京都の町並みとかの映像も雰囲気あっていいんだよ。音の使い方もすごい変なんだ。カッキーンッみたいな謎の金属音がする。場面転換するときに謎の金属音がなる。なんなんだこれは?って感じなんだけど、やたらとかっこいい。映像と音のかっこよさに酔いしれてしまう。
この実相寺昭雄節はハマる人はハマるでしょうね。
お話は全共闘世代の話っていうか、学生運動とかやって資本主義に絶望してユートピアを目指す若者の話とかそういう感じかな?よくわからないけど。1970年代の若者の感じていた空虚の物語って感じです。
倦怠期で愛情に行き止まりを感じているカップルが2組。お互いのパートナーを交換して、海辺のラブホテルでことに及ぶ。こんなことしてもなんにもならないじゃないかと、さらに愛情の袋小路にはいって惑うカップル。
このカップルは行き詰まってるんすよねえ。お互いの愛情も、なんていうか思想的にも。学生運動みたいなことやって、大人や現実社会に反抗してるんだけど、それでどうなるの?っていう行き詰まりを感じて焦燥している若者。
子供作って結婚して所帯もってみたいなことしたくないという田村亮。じゃあ、どうすんのよって女に言われても、どうするのかわからない。行き詰まりですよねえ。それでスワッピングとかやってみたわけだけど、全然意味ないのがわかっただけ。
そこのホテルは岸田森のホテルで、岸田森はカップルの一部始終を監視カメラで覗いていた。岸田森は仲間を集めて農耕や漁業をやって自活するユートピアを組織している男。男と女の関係についても現代のあり方を否定し、古代ではレイプなどなかった求められれば受け入れるのが当たり前というものだという考えをもっていた。
岸田森は、浜辺でたそがれるカップルを襲って、男を気絶させ、その間に女をレイプするように仲間に命じて実行させる。どうなるか、理論を実践するってわけ。
その後再び浜辺を訪れるカップル。岸田森の運営する共同体に感化されてじょじょにはまっていく。いなくなった友達を探しに田村亮がやって来て岸田森のいう理想のユートピアの姿を見聞。岸田森の考えはおかしいと反論する。
岸田森の考えは、なんだろう。結局、古代に帰れっていうことなのかな?現代人の現代の生活がおかしい。古代の生活が人間本来の生き方だっていうね。だから、ふんどししめて農業。ふんどししめて投網で魚とり。収穫の時期には神様に奉納相撲をとる。
奥さんなのか、自分の女は巫女としてユートピアのシンボルになってます。うーん、なんかよくわからない思想だけど、個ではなく全体を尊ぶみたいなことなんですかね。男女の関係も、個々の感情は関係ないみたいな感じ。
それを田村亮はおかしいと否定するわけです。
おもしろかったなあ。よくあるじゃないですか。カルト教団に迷い込んだ主人公が教団の実態を目撃して疑問を感じてそこから脱出するみたいなサスペンス。後半はあれです。
田村亮は一緒にユートピアにつれていかれた彼女が帰ってこない。京都の町のどこにもいないことを不審に思いユートピアを探す。実は彼女は監禁されて性奴隷とされたことに絶望して自ら首をつって死んでいた。
埋められた彼女を発見して激情した田村亮は仕返しなのか、巫女として存在していた女を襲う。襲われた巫女は滝から落ちて死亡。その死体をみた岸田森は、この土地は穢れてしまったから引っ越そうといいだす。
岸田森にとって女は土地を神聖なものとして存在させる役割として必要であっただけ。だから死んだ女など用済みだってなドライな感じです。島に土地もってるから、そこでまた新たにユートピアを築くぞと、仲間は荷物をもって練り歩く。
海からボロ船にのって意気揚々と出港するのだが、船は難破。全員死んで浜に打ち上げられる。それを見た田村亮は何を思ったのだろうか、日本刀を買って新幹線にのって日本の中枢を目指すみたいな最後。
なんかすごい70年代っぽいですね。空気感が。まあ、話は難しいとこあるし、思想的なことは全然わからないのでどうと言えないけど、とにかく映像と音がいいから見れるね。
逆にいうとこの実相寺昭雄様式美を楽しめなければ、なんのこっちゃ?ってなるだけです。
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