バスキアのことよく知らなかったんすけど、アンディ・ウォーホルの時代の人だったんだ。ウォーホルってめちゃくちゃ昔の人っていうイメージあるんだけど、そうでもないんすよねえ。80年代の人なんですよね。
まあ、今となっては十分昔なんだけど。80年代NYアートシーンの寵児となったバスキア。20代で有名アーティストになって、20代でオーバードーズで亡くなってしまう。ストリートから生まれた伝説的なアーティスト。それが今でも人気あるんだからたいしたパワーです。
作品に見るからにパワーありますもんね。落書きといえば落書きなんだけど、不思議な魅力がありますよね、バスキアの絵。あんなの誰でも描けるよって言われる系の絵だけど、やっぱり誰にも描けない絵なんだよなあ。
ピカソとかもそうですよね。あんなの子供が描いた落書きみたいだって思うんだけど、あれだけ力強く迷いなくああいうの描けるかっていうと、ほんとに子供にしか描けないというか、大人には無理っていうか。
いったいどういう創作活動を続けたらああいうのにたどり着けるんだろうか。ピカソはわかってるじゃないすか。子供の頃に超精密なリアルな絵を描けるスーパーなテクニシャンだった。それがいろいろと取り込んでいって変化していったのが年代ごとに作品があってわかる。
バスキアって活動した時間が少ないし、どこで絵のテクニックを身につけたのか、誰か師匠がいたのか、どういう変遷でああいう作風になったのか、よくわかりません。この映画でもそのへんはまったくといっていいほど描かれてない。
子供のころに母親に連れられて美術館で絵を見てたみたいですけど、どっかでアートの勉強したとかじゃないみたいですね。ヒップホップ的なコラージュの才能があったということでしょうか。アフリカンアート、ジャズ、テレビ、詩、解剖学書。すべての刺激を色でまとめあげる手腕は天才的。
ホームレス暮らしで、街の壁に落書きしてたバスキア。ヤクの売人に代金がわりに絵を描くこともあって、それがアートディーラーの目にとまって個展をひらくことになる。それが評判を呼び、さらにアトリエで作品を量産。また話題になりとどんどん有名になっていく。
そういうサクセスの過程での人との出会いを描くのがこの映画の中心になってて、バスキアのアートのルーツは描かれてないです。出てくる人がおもしろい。ベニチオ・デル・トロ演じる友達。ゲイリー・オールドマン演じるアーティスト。
デニス・ホッパー演じるアンディ・ウォーホルの友達。極めつけがアンディ・ウォーホル。デヴィッド・ボウイが演じてるんですけど、おもしろい演技してました。様々な人と出会い、お互いが利用し利用されで、ほんとうの友達といえる関係にはなかなかなれない。
まあ、そういう中でアンディ・ウォーホルとはアーティストとして深いところでつながった心の友だったという感じだったみたいです。浮気で彼女と別れちゃうし、名声が高まるのとは逆に孤独感をつのらせていくバスキア。
黒人ということでの悩みもあったみたいですね。白人社会の中で疎外感を感じる扱いをうけることに腹立たしく思ってた。アンディ・ウォーホルとのコラボもウォーホルのマスコットだと揶揄する人たちもいて落ち込んじゃったりしたみたいです。
理解者、盟友だったウォーホルが死んでさらに落ち込みが激しくなり、そしてヘロインのオーバードーズで後を追うようにバスキアも死去。20歳から27歳の間に、アートシーンの頂点へと駆け上りそのまま亡くなってしまった。
なんか憧れちゃうなあ。アーティストとして若くして成功、でも根無し草な暮らし。無頼派っていうんですかね。そういうのに憧れってあります。そういう生き方してみたいっていう願望。女友達の家を転々とするとかさ。
マドンナとつきあってた時期もあったんだって。GRAYっていうバンドもやってて、メンバーにヴィンセント・ギャロがいたとか。なんかすごい昔の人っていうか、遠い存在のようなバスキアですけども、意外と身近な存在っていうかね。この映画見ると自分の友だちのようにバスキアを感じられる。そんないい映画でした。
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