私の男
とにかく気持ちが悪い。
わ~、きもーって声に出してしまうようなキモイシーンが続く。そういうふうに作ってるので、そう思わせるということは、
出来がいいってことなんだけど、わざわざ見なくてもよかったなあって思っちゃったです。無料動画のGYAO!でやってたので、見てみました。熊切和嘉監督。桜庭一樹原作。浅野忠信、二階堂ふみ、藤竜也、河井青葉、モロ師岡、高良健吾出演。
後悔してももう遅いっていう話でもあったなあ。俺は父親がやりたかったのに、なんだこれはと、浅野忠信が泣いてましたけど、いやー、後悔することばかりですよねえ、人生って。
どこで俺は間違えたのか。ふとそんなことを思う時間が年食うと増えてきます。しかし、もはや今更どうにもならない。
二階堂ふみと出会ったところですでにもうダメだったわけですけども、もう、二階堂ふみと浅野忠信は離れられない関係になってるわけで。
それが悲しくも気持ち悪くもあり、人と人の縁とか親子や男と女の関係とか、愛とかなんとかいうのは、キモくて不愉快で後悔することばかりで、でも終われない腐れ縁でというね。
まあ、とにかくキモイ。気持ち悪くてどうにもこうにもいやな感じでした。映像とか音楽とかはきれいなんだけど、なんか匂ってくる感じっていうかさ、なんか臭そうなのもきつい。
音楽はジム・オルークでアンビエントな感じでオシャレなんだけど、それを大きく上回る汚物感。
タバコのヤニ、つば、たん、血、汗、糞尿。そんな汚い汚物のにおいがしてきそうな映像でこれもきつかったなあ。光の感じとか、陰影とかはきれいなのに、画面全体から匂ってくる汚物のにおい。
穢れてる感じっていうかね。浅野忠信と二階堂ふみの演技のうまさが画面をそう見せるんだろね。浅野忠信のくたびれてる、疲労感がにじみでてる顔とかいいんですよ。
疲れ切っちゃってるなあみたいな。それにくらべて二階堂ふみの底知れぬ生命力というかたくましさが恐ろしい。
10歳ぐらいで津波かなんかで親をなくして、浅野忠信に引き取られるんだけど、このときからなんかおかしいんだよ。親の死体に蹴りいれたりするんすよ。この子供やばいなみたいな。
浅野忠信にキスしよとかいうのも、キモイなあって怖かった。二階堂ふみはいろいろあっても全然へこたれないもんね。
浅野忠信と付き合ってた銀行の女にも全然負けない。あんたじゃ無理だよ、あの人は家族がほしいんだから、他人じゃだめなんだって笑顔でかますし。
浅野忠信との近親相姦を知られて違う親戚のもとにおくるという藤竜也を流氷に取り残して見殺しにしても、全然平気だし。
東京に出てから、藤竜也の死の真相を現場にあった眼鏡から知ったモロ師岡がやってきて、浅野忠信が殺しちゃうんだけど、二階堂ふみは全然うろたえない。
普通に派遣で受付嬢やって暮らしてんの。浅野忠信はもう後悔で、精神ボロボロで家は汚部屋みたいになってるんだけど、二階堂ふみの部屋は普通のOLの部屋みたいに掃除もちゃんとしてきれいな部屋なんすよ。
この違い。男はなんでこんなことになったんだと荒れて後悔にさいなまれて壊れてるのに、女のほうは全然乱れてない。
いや、二階堂ふみは最初から壊れてたってことなのかな。
いやー、もうなんだかわからないけど、とにかく気持ちが悪い。
お話も映像もどっちもそういう汚れを感じるものでした。とにかくそれにつきる。話の細かいとこがどうこうというより、全体的に漂う不潔感がすごい映画だったです。
二人の常識からはずれる愛がどうしたこうしたとか、歪んだ愛情をぶつけあうしかなかった悲しさがどうしたこうしたとか、そういうとこまで意識がまわらない。
いや、そんな話なのかな?とにかく気持ちが悪い。
サイコパスの子供とサイコパスの親が、たわむれてるのを見てるだけって感じ。勝手にどうぞって感じ。桜庭一樹の小説が原作なんだけど、こんな話だったんだ。
文字で表現されるのと、映画で映像になるのでは、雰囲気だいぶ違うのかなあ。小説のほうもキモイのかな。
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