中国から命がけで船にのって米国に渡ってくる中国人。大金と命をかけても、米国を目指すことの意味が、子供の自分には実感としてよくわからなかった。蛇頭というなんだかすごく悪そうな組織名だけが、強烈に記憶に刻まれましたな。
今も蛇頭ってあるんですかね。中国からの不法移民問題ってあんまり耳にしないような気がする。アメリカの不法移民問題ってメキシコからが問題になってなかったっけ?トランプが大統領のときに、メキシコ国境に壁作るとか言ってたような。
そんな蛇頭の話がこんなスタイリッシュな映画になってるとは。蛇頭の斡旋で米国に渡ってきた幼い二人の中国人が主人公。二人が子供なのに地元のギャング団に参加してあれこれ抗争や殺しに関係して成長していくって感じです。
青年の青春物語風に描かれてました。1980年代のニューヨークの中華街を舞台に、ギャング同士の抗争に明け暮れる青春みたいな。どこか日本の不良漫画っぽい雰囲気ですね。古くはビー・バップ・ハイスクール、最近ではクローズみたいな、そういうムードがあります。
まあ、抗争は喧嘩というレベルじゃなくて殺し合いですけどね。普通に殺すし、撃たれて死にかけたりもします。主人公の若者は、選択肢なんかなくて、否応なしにギャングの構成員にさせられます。
何個もグループがあって、主人公たちは青龍だったかな。中国系のギャング。他には韓国系グループがあったり、なんだっけ、ほかは思い出せないけど、いろいろあって、小競り合いです。
友情が壊れたり、恋したり、なんだかんだとありまして、最後主人公は親友も彼女も処刑したボスに復讐しようとするんだけど、逆に返り討ちになっておしまいです。
最後のオチは、あいつが実はっていうことだったんだけど、あいつって誰?っていうぐらい顔の印象薄いやつなので、全然、衝撃のラストになってなかった。このひと誰だったっけ?みたいな。
一番驚いたのは、その後で、これ実話でモデルとなった人がどうなったかみたいな話が流れてきたときです。これ実話だったんか~みたいな。まあ、そうだなあ、あの時代のニューヨークの中国人街だったら、こういうこともあっておかしくないかみたいな。
うーん、映像の雰囲気はよかったけど、お話はわかるようでわからないようでって感じでいまいちですね。
監督はアンドリュー・ラウ。「インファナル・アフェア」の監督じゃないすか。監督作品のリストを見ると、「欲望の街こわくちゃい」シリーズも監督してるんだなあ。なんだあ~。「欲望の街」と「インファナル・アフェア」をくっつけたような話をアメリカの中華街でやったのか。
マーティン・スコセッシが製作総指揮というのは、「インファナル・アフェア」のリメイクの「ディパーテッド」をスコセッシが監督してたつながりでしょうか。そのスコセッシ人脈で、レイ・リオッタが出演してるのかも。
レイ・リオッタもどうも中途半端な感じの出演ですね。顔見せ出演というかなんというか。微妙にメインにはからんでこない。捜査資料を難しい顔して眺めるとか、電話で熱く不法移民を取り締まる必要性をしゃべるとか、そういう一応出演してますよ的なアリバイ作りな出演シーンが多いです。
レイ・リオッタはFBIの捜査官役なんすけど、がっつり出てくるわけじゃないです。レイ・リオッタを使うのなら、レイ・リオッタは主人公にもっとからんで、対決する存在として出てきてほしかったなあ。
実話をもとにしてるけど、再現映像にならずにちゃんとフィクションしてたのはよかったけど、もうちょっとどうにかならんのかなっておもっちゃう残念映画でした。映像の感じはけっこうかっこいいので退屈はしなかったですが。
いやー、もういっそのこと、若者版インファナル・アフェアとして作ったほうがよかったんじゃないだろうか。スネークヘッドの斡旋で中国に渡ってきた子供二人がそれぞれギャングと刑事になって相まみえるみたいな。
運命に翻弄される蛇頭キッズみたいな。そこまでフィクション全開でもよかったんじゃないすかね。オチに刑事が実はっていうのをもってくるのなら、あの刑事をもうひとりの主役としてもっととりあげるべきだったんじゃないのか。
一番おもしろかったのは、中華料理店症候群が描かれてるシーンですかねえ。店主がコックに添加物は2杯入れろ!って言ってて、その料理食った白人が添加物いれるなって言っただろ、化学調味料で気分が悪くなるみたいなこと言ってクレーム入れてるシーンがあって、これがあの噂のチャイニーズレストランシンドロームか!ってなりました。
当時、中華料理に使われるうま味調味料が、体調不良を起こすということがさかんに言われたらしいです。関連は実験では証明されてないから実際どうだったのかはわからないらしいですけどね。
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