主役はお岩さんじゃなくて、伊右衛門ですね。
悪の美学。
突き抜けた悪人の悪道って感じの話です。
佐藤慶が演じてるんだけど、悪いんだよなあ。
こいつはワルだって言う感じ。
涼しい顔で人を斬れる男。
人殺ししてもなんにも良心が傷まない男。
こいつは悪事を働いてもぐっすり枕を高くして熟睡しそうです。
四谷怪談ってお岩さんの恨めしや~が印象的なんすけど、
この映画では完全に佐藤慶のほうが主役ですね。
もともとそういう話なのかな?
いやー、こういう悪いやつって生まれながらにワルなのかなあ。
伊右衛門が藩が潰れずに浪人になってなかったら、
こんな悪事を重ねることがあったんだろか。
まあ悪いやつは悪いやつなんだけど、
身分も仕事もお金もそこそこ手に入れてたら、
お岩とうまいことやって
何事もなく過ごしてたんじゃないかとか思うわけ。
悪党は金と身分が手に入ったらそれで満足なんだから。
食い詰めて、仕官の口もなくて、
お岩は身体が弱くて、食うに困る状態になったから、
腹くくって悪の本性を全開にしたって感じします。
追い詰められて、開き直った。
すべての元凶は貧乏だった。
仕官の口利きぐらいしてくれることを期待して
一芝居うって商人に近づいたら、
予想以上の幸運が転がり込んできたことも
悪の道をすすむことに拍車をかけたって感じっすかね。
人が悪に手を染めるときってこういうときなんすねえ。
小銭稼ぎしようと思ったら、
大金をゲットするチャンスが転がり込んできたら
こりゃ一か八かっていう心境になるなあ。
最初はお岩を殺すとか全然考えてなかったのに、
商人の娘とくっつくチャンスだとなると
お岩を殺すことになんの躊躇もなくなる。
怖いっすね。
チャンスが人を悪党にするっていうのがね。
貧しさが人を悪に走らせる。
思いがけない僥倖が人を悪に走らせる。
そういう怪談でした。
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