村川透監督デビュー作品
村川透の監督デビュー作らしいです。1972年の日活ロマンポルノ。無料動画のGYAO!でやってたときに見てみました。出演は伊佐山ひろ子、荒木一郎、谷本一、石堂洋子。お話は少女とスリの話でした。脚本は神代辰巳と村川透。
ストーリー
街をぶらつく伊佐山ひろ子はスリの男、谷本一と意気投合。親しくなって処女をささげるのだが、彼は捕まって刑務所にはいってしまう。
寂しく喫茶店でコーヒーを飲む彼女のもとに、男とムショで一緒だったという荒木一郎が現れ、やがて彼にひかれていき、スリの片棒をかつぐようになって……、みたいな感じです。
ロマンポルノなので、ストーリーがあるようなないようなどうでもいい感じなので、あんまりおもしろくはないです。ガール・ミーツ・ボーイなお話っていうかね。女と男が出会って最後は悲しい別れみたいな。そういうやつです。
どうしようもない男に惚れてどうしようもなくなる女の物語。谷本一も荒木一郎もろくな奴じゃないのが最初からまるわかりなんだけど、なぜか惹かれる女の悲しさ。新聞紙かなんかをくるくるっと巻いて棒状にしたやつを額にのせて、バランスとってみせて、これできるようになるまで、すげえ練習時間かかるんだぜとかいっておどけるような男にろくなやついない。
見どころは70年代の風景
おもしろいのは、街の風景ですね。70年代の記録映像としての面白みがすごいあります。走ってる車とか、着てる服装、髪型、ファッションがすげーレトロで面白いんですよ。赤い公衆電話が駅とかにいっぱい並んでる風景も今はないから、こういう時代あったんだあって感じでおもしろい。
駅の券売機も、今みたいなのじゃなくて、すごい古臭い感じのやつで、いい味だしてるんすよ。荒木一郎がミラーレンズのティアドロップサングラスしてるのも、時代だなあって感じです。
実験的作品の宝庫
日活ロマンポルノっておもしろい映画がいっぱいありますね。おもしろいっていうか、変わった味わいのある作品っていうか。ポルノなのでベッドシーンがいっぱいあるんだけど、ベッドシーンは意外とつまらないのです。
レズシーンとかもあるんだけど、なんかベッドシーンは退屈で早送りしたくなる。伊佐山ひろ子が、白目をむいて絶頂演技してるのが、なんか笑ってしまうというかなんというか。
日活ロマンポルノはベッドシーン以外のシーンがおもしろいんすよねえ。スリの練習しろよって荒木一郎に言われて、伊佐山ひろ子がマネキンに着せたジャケットから財布をする練習をするシーンとかバカバカしくていいし、荒木一郎たちが銀行から大金をおろした男にスリをチームで仕掛けるとこなんか犯罪もの映画みたいでスリルあるし。
フランス映画っぽいおしゃれ感があったり、昔の邦画みたいな人情ドラマがあったりするから、ストーリーは平板なのに、飽きない。なんかベッドシーンが3回か4回かあれば、そのほかのシーンをどう撮るのか、ストーリーはどうかは自由みたいな決まりだったから、ロマンポルノでこういう自由な作風の映画が生産されたらしいですね。
新人監督の実験場みたいに日活ロマンポルノがなってたとか。70年代っていったら、映画が斜陽産業になってて、映画よりテレビの時代が始まってたときですかねえ。そういう時代の流れを感じる作品群だなあ、ロマンポルノって。
一時期、おしゃれでおもしろいってロマンポルノを見直す流行があったような気がする。確かに見直して今観たら、興味深い作品多いかもしれないっすね。
DMM動画:白い指の戯れ