確か随分昔に一度みたことがあったけど、
全然覚えてなくて、最近見直してみました。
そしたらおもしろいんだよ。
何がってすべておもしろい。
映像のレトロな感じとかもいいし。
車が出てくるんだけどマツダのファミリアで
うわー、レトロなデザインだなあって。
それだけで面白いもんね。
それに出てくる俳優たちが若くてすごい生き生きしてんの。
高倉健、武田鉄矢、桃井かおりの3人の演技合戦が熱い。
俳優の格としては高倉健が一番なので、
高倉健主演と言われるけど、
物語上の主役は武田鉄矢なんすよ。
彼の話なんですよねえ。
だって武田鉄矢の映像から始まって、
最後も武田鉄矢で終わるんだもの。
失恋して何もかも嫌になって、
仕事を突発的にやめて、
退職金をはたいて車を買って北海道に旅行に出た青年が、
旅先で出会ったわけありの人々との日々の物語。
若者が旅に出て、旅先で人生の片鱗を垣間見て
成長したっていう話なんすよ。
だからもう武田鉄矢オンステージっていうかね。
もうすごいのよテツヤが。
脂ぎってるっていうかなあ。
百姓がよぉ!って何かというと、北海道民をバカにする武田鉄矢の
イキリ具合がすごい。
このとき武田鉄矢は役者としての経験もなしに抜擢されて
撮影中は山田洋次に駄目だしされまくって
ほんと辛かったらしいんだけど、
そんなことはまったく感じられない生き生きと躍動するテツヤタケダ。
そんな武田鉄矢に対する高倉健はいつもながらの健さんで
対抗してうまくやってたなあ。
またさ、桃井かおりの演技もすごいんすよ。
やばい、武田鉄矢に食われる、場の空気を全部持ってかれるっていう
危機感がそうさせるのか、武田鉄矢と張り合って
これまたすごい演技で対抗してんすよ。
ちょっと笑っちゃうっていうかさ。
武田鉄矢と桃井かおりのやりとりのシーンの
密度の濃さになんか笑っちゃう。
濃い武田鉄矢に濃い桃井かおりに、静のいつもの高倉健。
この三つ巴の演技合戦が熱いすねえ。
ほとんどが3人が車で移動してる映像なんだけど、
全然退屈しないんだわ。
時々、ゲスト的に渥美清が出てきたり、タコ社長がでてきたり、
たこ八郎がでてきたりするのもいいね。
お話としてはさ、けっこうひどいんだよ。
ひどいって何がって高倉健演じる男の身勝手さが。
そりゃないぜえ~みたいなさ。
ひどい男なんすよ。
勝手な男の代表みたいなやつなんすよ。
倍賞千恵子に一途に惚れてるのはいいんだけど、
一人で勝手に喜んで、一人で勝手に失望して、
勝手に怒って暴れてさ。
俺なんかと一緒にいると不幸だからって
また勝手に離婚しようと決める。
あんたはほんとに勝手な人だと倍賞千恵子泣いてましたけど、
ほんとそうですよ。
流産したときも、倍賞千恵子の辛さをいたわるどころが
俺に隠し事してるのか、信用できないって怒って
あれる高倉健にあきれてしまう。
ダメ男の見本みたいな。
そのあげく、未練があって、待っててくれるのなら
黄色いハンカチを物干しに掲げておいてくれとか手紙出すんだよ。
最低すぎる。
まあ、でもそれが人間くさくていいのかもなあ。
自分の妻に優しくできない男なのに、
武田鉄矢にもっと桃井かおりを大事にしてやれと説教したりするんだもんなあ。
そんないろいろある男と
旅先で出会った若者男女が最後一緒に運命の結果を見に行く。
はらはらドキドキしましたね。
結果知ってるのにドキドキだ。
高倉健は結果を知るのが怖くて目つぶってる。
武田鉄矢と桃井かおりが倍賞千恵子の家を探してあちこち見て、
そして見つける。
いやー、このシーンはなんかさ、
ちょっと編集がいまいちじゃないすかって思っちゃったな。
黄色いハンカチの映像が見えちゃってんのよ。
武田鉄矢と桃井かおりがハンカチを見つけて大喜びしてるところで
黄色いハンカチの映像が見えてる。
ここでハンカチ見せちゃダメだろって思ったんだけど。
ここは高倉健が勇気をだして目をあけた次のカットで
黄色いハンカチが風にたなびいてる映像になって
そこで高倉健と観客が初めてハンカチがあったとちゃんとわかるっていう
形になってないと、感動が薄れちゃうように思ったんだけど。
せっかくの感動のシーンだけど、
武田鉄矢と桃井かおりが見つけたところでハンカチが見えちゃってるから
感動が薄くなっちゃったなあ。
なんか違和感感じちゃったんだけど。
どういう意図でこうしたんだろ。
わざとこうしてるんだけど、なんでなんだろ。
観客に武田鉄矢たちと一緒に
高倉健の感動を見届けさせるっていう演出で
こうしてるんだろか。
武田鉄矢たちが主ってことなんだろな。
まあ、よかったんだけどね。
最後の締め方もいいんだよ。
高倉健と倍賞千恵子の様子は遠目でちょっと見せるだけで、
武田鉄矢と桃井かおりがよかったと歓喜に咽び泣く感動のなかで
優しいキスをするっていうシーンで終わる。
若者二人の様子を見せることで
高倉健と倍賞千恵子がハッピーエンドになったというのをわからせる。
いやー、粋なラストですよ。
おそろしいぐらい切れてる演出ですよねえ。
この映画がいいのは、やっぱ高倉健を中心にするんじゃなくて
武田鉄矢を主役に話を組み立てたところだなあ。
若者が人生捨てたもんじゃないっていうのを知る物語。
こんな旅ならしてみたい。
いやー、ほんといいですよ、これ。
結末知ってるのに何度でも見たくなる。
武田鉄矢、桃井かおり、高倉健、倍賞千恵子らを見てるだけで
なんだか元気になる。
DMM動画:幸福の黄色いハンカチ