舞台は部屋。そこでナオミ・ワッツが一人芝居するのが続く。ナオミ・ワッツってこんな顔だっけ?って思った。まあ、ナオミ・ワッツは作品によってけっこう見た目が違って見える女優ですね。
時代は1970年代。場所はニューヨーク。記録的な猛暑とサムの息子を名乗る殺人鬼による連続殺人事件で治安悪化してる町。祖母のアパートで引きこもり生活をしているナオミ・ワッツ。
食べ物は配達してもらって、誰とも会わずに隠遁生活。なぜ彼女が部屋から出られないのかはよくわからない。かつてのナオミ・ワッツは反戦運動家で作家。裕福な一族の人間で、父親をモデルにしたような本を書いて話題をさらった新進気鋭の若手作家だった。
その本が原因で一族からは勘当されたみたいです。
今では部屋から一歩も出られず、新作も書けず、出版社からは前借りしまくってて、もうこれ以上はお金のあてはないという状態にまで追い込まれていた。
家賃を滞納したらそく追い出しで露頭に迷う恐怖に怯えるナオミ・ワッツ。
そんな彼女を悩ませるのが、家のインターホン。深夜に何度もベルが鳴らされる。出てみても何も喋らない。窓から下を見てもよく見えなくて、誰もいない。
誰かが嫌がらせしてる!って不安でいらいらをつのらせるナオミ・ワッツ。部屋を出て下におりて様子を見に行けばいいようなものだけど、彼女は部屋から出られない。
この部屋から出られないというのは、彼女が行き詰まってる、行き場がない、精神的に閉じている、ということを表してるんだろね。
昔の友だちが訪ねてきて部屋の整理とかして酒飲んで昔のこと懐かしく話したりするんだけど、ケンカして友達を追い出しちゃう。過去の整理がつかないナオミ・ワッツの苦しみを友だちの訪問という形で暗喩してるんだろ。
ラジオではサムの息子の殺人事件のことや、記録的な暑さのことなんかが流れてくる。外の世界は動いている。大事件がおきて胎動している。
そこに飛び出していく準備や勇気がまだナオミ・ワッツにないということ。
そんでもう書くしかないってことで、タイプライター取り出して、昔のテープレコーダーで録音した素材を頼りに執筆をしたりし始める。
窓の外を見ると、向かいの部屋が丸見えで、暑いからみんな窓全開してる、男と女がやってるのが見えて、ナオミ・ワッツはむらむらきて、宅配デートサービスを頼んで男と激しくやったりもします。
男と楽しんだあとに寝てるとベルが鳴る。男が下におりて確認しても誰もいない。このベルはなにかの掲示かもしれないねって話す男。
このインターホンのベルはナオミ・ワッツに早く出てこい、部屋から出て社会にもどってこいという呼びかけのベルなんだろね。
新作を書き上げたナオミ・ワッツは、食料配達を頼んでいる火傷の黒人青年に原稿を出版社に届けてくれるように頼みます。全財産40ドルで。
少年が足元見て、ぜんぜんまけてくれない。10ドルで、20ドルでっていってもダメだ40ドルだってゆずらない。人生かけるぐらい大事な配達なんだろ、だったら全財産かけても惜しくないだろって言われて納得するナオミ・ワッツ。
配達して小切手受け取って帰ってきてと言ったけど、戻ってこない青年。夜になって停電になって、群衆がお店に侵入して強奪がおきて、あちこちで火事がおきてひどい状況になる。
窓から通りを見ると、配達を頼んだ青年が警官にボコボコにされてるのが見えて、ナオミ・ワッツは部屋から出て通りまでおりてきて青年を確認すると別人だった。
原稿は届いたのか届いてないのか、青年はどこ行ったのか、なにもわからなくなったナオミ・ワッツはあちこち火事で燃える町のなかをさまよい歩くのだった。
場面がかわり、テレビのトークショーで新作の本についてインタビューをうけるナオミ・ワッツ。司会者がこの新作のモデルはあなた自身ですかときかれて、静かに微笑むナオミ・ワッツ。おしまい。
こういうのってスリラーというより、芸術の苦悩を隠喩、メタファーで描いた概念劇みたいなものじゃないのかな。
作家がスランプから脱するまでの苦悩を、部屋からでられない引きこもり生活という形で見せている。
謎のベルの嫌がらせがあったり、怖い警官が出てきたり、背景としてサムの息子事件があって、暴動や火事とかあるので、そこにからんだスリラーかと思っちゃうけど、それらは全部メタファーでしかない。
スリラーだと思って見ると、最後までみて、それで?ってなっちゃうと思う。