お話はミステリーというかどんでん返しというか。全部ケヴィン・スペイシーのほら話でした~っていうね。よく考えると、穴だらけというか、根本的におかしくね?って思っちゃう話というかね。なんかおもしろいのかおもしろくないのかよくわからなかった。
麻薬取引がされた船での抗争事件で生き残ったケヴィン・スペイシーの証言を刑事が取り調べで聞いてるっていう形でいろいろとこういうことがあったと映像でみせていくんだけど、そもそもケヴィン・スペイシーは嘘つき詐欺師なんだから、こいつの証言なんかまったく信用できないじゃないかと。
チャズ・パルミンテリは関税の捜査官かなんかでした。黒人のFBI捜査官だっけも出てきてたなあ。ぜんぜん覚えてなかった。乗組員が何人も死んでて、船での抗争でいったい何があったのか、刑事はよくわかってない。それで生き残りのケヴィン・スペイシーをつるし上げるわけ。
よくよく考えたら、科学的な捜査とか現場検証とかぜんぜんやってませんでしたね。ケヴィン・スペイシーの話聞いて結局、カブリエル・バーンが黒幕だと決めつけて、一仕事終えたみたいな顔するチャズ・パルミンテリが間抜けすぎる。
ケヴィン・スペイシーが詐欺師でおしゃべりっていうあだ名がつくぐらい信用できない嘘つき野郎なのに、ケヴィン・スペイシーの話を真に受けすぎだろみたいな。
そこがなんかすごく気になったなあ。でも、見てるときはいろいろ謎な展開があるのでけっこうおもしろく楽しいんですよ。
スティーヴン・ボールドウィンの二丁拳銃シーンとかかっこいいし。警察のタクシーバイトを襲撃するシーンとかもワクワクするし。カイザー・ソゼの正体にどんどん迫る感じもいいし。最後のケヴィン・スペイシーの足引きずっていたのが普通になって麻痺してる手が普通になるところも、なんかキターって感じするし。
なんか映像のちょっといい感じがこの映画のいいところなんだなあと。どんでん返しがすごいとか、ミステリーとしてすごいとかじゃないだと思ったなあ。
ユージュアル・サスペクツを語るとき、ミステリーとしてどうかっていう話になること多いけど、ポイントはそこじゃないんじゃないかって。ほら話につきあわされた徒労感みたいなのが、この映画のおもしろいとこじゃないのかな。
よく考えたら、冒頭からして変だもんなあ。立小便で導火線の炎を消火するっておかしすぎるんじゃないか。そんなんで火が消えるかあ?って。どんだけ勢いよく大量に小便するんだよって。しかもけっこうな遠距離から、あんな正確に小便できるかな。
だからあれは、この映画ってほら話ですよって、嘘くさい嘘話ですよっていう宣言のようにも見えた。だから細かいところを、これミステリとしてどうなのって突っ込んでも仕方ないんじゃないすかね。ミステリーじゃなくて、ほら吹きがほら話でうまくやりやがったっていう映画。