バブルの好景気時代に派手な地上げで儲けていた大手不動産会社。バブルが弾けて不良債権化した土地や物件をかかえ、経営難に陥りかけている。そこでバブル期入社組の給料高いけど仕事をしないさぼり常習社員たちを大量一斉解雇することにする。
それで50名ぐらいリストアップしてひとつの部署に集めて、営業目標を設定、それを達成できなければ解雇ということになります。そこに集められたのは、柴田恭兵や中村敦夫、高島礼子など。
中村敦夫は津川雅彦のコンプラ無視の儲け主義についていけず逆らったことで窓際に追いやられていた。柴田恭兵はバブル期にやってた地上げが何も生み出さず、空き地ばかりを生む結果になったことに絶望してやる気なしになっていた。
リストラ部署に集まったのは、その他、5時定時で必ず帰るやつとか、営業経験まるでなしなやつとか、やる気のないやつとか、売上目標金額を達成するのは無理に思える戦力外の社員ばかりです。会社は組合がうるさいから、目標達成できないことを正当な理由に解雇しようっていう腹づもり。
どうせダメなのかとか、こんなの無理とか、時代が悪い、俺達が悪いんじゃないとぼやくだけの社員たちなんすけど、ここであっさり終わってたまるかと、なんやかんやとありながらどうにか営業して売上をあげようとするって感じです。
それぞれの社員の事情とかも描かれます。高島礼子が津川雅彦の愛人やってて、愛人生活に嫌気がさして反旗を翻すとかもあります。津川雅彦のホテルの部屋を訪ねて妨害工作をやめるように懇願する高島礼子を津川雅彦がいたぶるシーンはおもしろい。
マーラーの交響曲第5番が流れるなか、高島礼子にキスしたり服を剥ぎ取って半裸にしたりと自由自在にいじくり回す津川雅彦。さすが濡れ場マスター。動きが手慣れてるぜ。半裸にされた高島礼子がワインボトルをラッパ飲みするところを払いのけるとか、なんかシリアスなシーンなのにおもしろくなっちゃう。
ドラマはいろいろあるんだけどなあ。それがいまいち、ダメ社員たちががんばって会社に一泡吹かせる痛快さにつながっていない。
もうちょっとコメディ色を強く作ってもよかったんじゃないかな。明るく軽いムードでやってもよかったような気がする。
だってさ、リストラといってもあまり深刻な感じしないんすよ。まだ余裕あるなあみたいに見える。冒頭からして中村敦夫と柴田恭兵がヘリコプターにのって東京上空から地上の空き地を見てバブル期の失敗を噛みしめるみたいなシーンがあるんすよ。
ヘリ乗って東京をながめるって、あのヘリコプターは会社のヘリか?それとも自腹でチャーターしたのかな?土地バブル崩壊しても、バブル時代の人間のバブリーな感覚はすぐには消えない。
経費や広告費はゼロなので、自分たちでビラ配りや宅地の雑草狩りや、コネを使っての営業などをやるリストラ候補社員たち。
いや、それ普通の仕事じゃないのかみたいな。バブル期は大手社員は自分たちで何もせず、経費で外注してたってわけなのかなあ。柴田恭兵たちが普通に普通の仕事してるだけのように見えてしまうので、いまいちがんばってる感がしませんでした。
さぼりで仕事しない社員が普通に仕事をやり始めただけに見えてしまう。
津川雅彦側からの妨害工作とかあるんですよ。営業成績をあげてもらうと困るので、仕事を横取りしたり失敗するようなことをしてくる。小坂一也にスパイをやらせて情報提供させる。小坂一也は娘が結婚することになってて、親が一流企業につとめているという見栄をはりたいがために津川雅彦のスパイをやります。
挙句の果てには追い込まれて、販売する住宅に放火までやってしまう。リストラにおいつめられて犯罪にまで走る社員。そこまでやる会社はひどいっていうことなんだけど、バブル崩壊後の長期氷河期をへた今見るとそれほどひどくは見えないのが不思議です。
まだ余裕あったんだな、バブル崩壊後すぐは、って感じです。
氷河期は時間をかけてリストラとかいう余裕はなく、会社自体の存続が危ない状態だったし、給料は激安、求人もなく、この映画より数段ひどいのが当たり前だった。
まあ、バブル期は大手企業に入社できればサボっても出社さえしてれば定年まで高い給料もらって安泰って感じだったから、それが急にやめてくれってなったら困るのもわからんでもないですが。
映画は結局、リストラ組は営業目標未達になったけど経費ゼロである程度の結果は残せたということで全員解雇はまぬがれたって感じでしたっけ?悪役の津川雅彦も、社長や会長の手先として、悪役を演じさせられてるだけだった。
柴田恭兵は津川雅彦を殴って退職。津川雅彦に過去の収賄の記事をちらつかせて、金を脅し取る。小坂一也の退職金にするお金としてね。柴田恭兵は町の小さな不動産屋を高島礼子といっしょに始めて再スタート。これはハッピーエンドなのかなんなのかちょっとよくわかんなかったなあ。