嫁も息子も呆れてたよ。まじかよ~、こいついかれてるわっていううんざりした嫁の表情が面白すぎた。殺人容疑で逮捕された嫁を脱獄させて小さな息子と3人で海外に逃亡するという計画を実行するラッセル・クロウ。
嫁は状況証拠から殺人容疑で逮捕されて懲役くらうんだけど、事件の真相、ほんとうに嫁が犯人なのかそうではないのかは最後のほうになるまでわかりません。というか、ちゃんとした腕のいい弁護士を雇っていたら、嫁は無罪になっていたような気もしちゃいます。
なんか知り合いの顔なじみの弁護士に依頼してるっぽかった。あれもっとちゃんとしたプロの刑事弁護士を大金はらって雇ってたら無罪になってたんじゃないかみたいな。
だって状況証拠しかないから。殺された被害者と当日に口論していた。犯行時間前後に現場から車で立ち去るのを目撃されていた。凶器に指紋がついていた。コートに血痕がついていた。すべてが犯行時のものなのか断定できない状況証拠でしかない。
奥さんは自分はやってないとずっと証言してるみたいなんすよ。あやしい女性とすれ違ってぶつかったときに服のボタンがおちた。その女性を探してくれって。でも見つかんない。それでなぜか彼女が犯人ということで確定して上告とかしてもダメでいよいよ刑が確定するのが近づいてくる。
ラッセル・クロウは精神がだんだんおかしくなっていく。彼女の無実を信じている。彼女に人殺しなんかできるわけない。どうしたら妻と息子と自分、家族を守れるのか。そや、妻を脱獄させて海外に逃げて、みんなで暮らしたらええんや!ってなる。なんでよ?
もうこれしかないとかいう感じで精神的に追い込まれていく演技をするラッセル・クロウ。見てると演技がちゃんとしてるから、そうなのか~って感じなんすけど、よく考えたらなんでこんな犯罪計画をするしかないという結論が出るのかよくわかりません。
ラッセル・クロウは妻の脱獄計画に夢中です。息子は母親が殺人で逮捕されて落ち込んでるし、学校でもそれでいじめられて落ち込んでるし、見るからに精神を病んでそうなんだけど、ラッセル・クロウは犯罪計画実行に向けての調査に夢中で息子の相手は適当です。
父親失格としかいいようがない。家族のために、家庭を守るために、といいつつ家族を傷つけることにせっせと精を出すというね。うわ~、これ夫がやりがちなことだなあって。父親らしくやらなきゃと焦るあまりに、父親として絶対やっちゃダメなことをやっちゃうっていうね。
それ家族のために全然なってないよっていうね。それで逃亡計画のほうは紆余曲折、失敗もありながらもやり遂げてしまいます。脱獄経験者のリーアム・ニーソンに取材を装ってアドバイスもらったりしてさ。
リーアム・ニーソンのアドバイスは、とにかくやりとげる信念をもつこと。それがもてないのならやるな。覚悟ができるかっていうね。そこが一番大事だというわけ、脱獄逃亡人生には。
そうか~ってラッセル・クロウは脱獄逃亡計画実行にむけて信念をかたくもつってあかんがな。夫として、父親として、人として、信念をもってやるべきことはそうじゃない、違う違うそうじゃないって感じです。
計画が成功するかどうか、追ってくる警察をどうやって振り切るかのサスペンスはおもしろくて、普通にクライムサスペンスとして楽しめました。ああ~、迫ってくる~、やばい~って緊張が高まって、実はそれも計画の一部でうまくやったというのがわかって緊張が解ける。
そのサスペンスの見せ方は見事でおもしろかったですね。だけど、最後、あの家族の行く末を考えるととてもハッピーエンドには思えない。妻の無実がわかるという展開だったらまだよかったんだけど、刑事はあと一歩というところで真相にはたどりつけません。
妻の容疑は晴れないまま。ラッセル・クロウたちは海外で逃亡生活。いつばれるかとひやひやし続けて暮らしていけるのか。妻は夫が自分に相談もなしに犯罪計画を実行したことに不信感しかないだろうし、息子は母親が殺人容疑の上に父親が脱獄逃亡犯で、あちこち連れ回されて犯罪者として生きていかないといけない。グレるしかない。