4姉妹物語。笠智衆と4人が1LDKの団地に住んでる。父子家庭で笠智衆が4人育てたんだなあ。笠智衆は定年を迎える。退職金を5等分して娘1人に50万円を結婚支度金としてあげることにします。いい父さんだなあ。
4人とも結婚してない。結婚するときに家を出るって感じなんすかね。長女の芦川いづみはけっこういい年だし、一人暮らししててもおかしくないのに、この時代は女性は結婚するまでは実家ぐらしするのが当たり前の感覚だったのかなあ?
まあ、この4人娘の恋模様を描くって感じかな。いや、末っ子の和泉雅子は恋をしていない。まだ子供で色恋に無頓着な年齢ということなんだろか。3人の娘の恋と笠智衆の恋で4つの恋物語ってことかな。
芦川いづみは一度結婚に失敗してて、今はおじさんと付き合ってる。結婚をのぞめない相手との関係をずるずる続けている。
十朱幸代は町工場の跡継ぎ藤竜也と付き合ってる。結婚に踏み出せないのは、町工場は倒産寸前だから。父親からもらったお金で、焼け石に水だけど、いくらかは彼を助けることができると献身愛。
藤竜也と両思いだったんだけど、藤竜也が親会社の娘に気に入られて工場の資金援助を条件に結婚することになって、十朱幸代は捨てられる。藤竜也ひどいやつだなって思ったけど、彼にも悲しい事情があって気持ちが沈んだなあ。
吉永小百合は幼なじみの浜田光夫と友達以上、恋人未満みたいな関係。そこに関口宏に見初められて猛アタックされる。関口宏は大金持ちの家の息子なんだよね。なんせ、趣味はカーレースだぜ。吉永小百合は関口宏と浜田光夫の間を揺れ動く。
浜田光夫のほうは、ちゃんとした仕事も見つからず、電車でからまれる女性を助けようとして、男たちに刺されて入院するわ、組合のスパイをしてるのがバレて組合員からリンチされて大怪我するとか、2度も死にかける人の良い頼りないおっちょこちょいです。
2度も死にかけてるのに、誰も心配してないのが笑えた。また、いつものことだぐらいのテンションなんすよ。いや、刺されたり集団リンチされたりするのが、日常茶飯事で珍しくない時代だったのかな、60年代って。
金持ちで性格もよくてしっかりしてる関口宏。金もないし、頼りないし、未来がまったく見えない浜田光夫。どっちにひかれているのか、正直に心にきいたら浜田光夫ってことになって、吉永小百合は彼を選ぶ。
吉永小百合のコメディエンヌぶりが、面白かったなあ。コメディな吉永小百合っていいですね。高嶺のいい女みたいな役柄のときより、こういうコミカルな役のときのほうがおもしろい。
まあ、自分がいなくちゃこの人はだめなんだっていうのが生きがいというか、生きる糧になるタイプの人なので、関口宏を選ぶより浜田光夫で正解かもしれない。
笠智衆の恋はというと、退職金目当てに近づいてくる酒場のホステス相手です。女のほうは退職金がはいったのを聞いて、それ狙ってるのが最初からまるわかりなんすけど、笠智衆は気持ち良くさせてくれる彼女に夢中になっていく。
いやー、わかるなあ。気分がよくなること言ってくれると、それがお世辞やおあいそであろうと相手に好意をもっちゃいますよ。
適度なスキンシップしてくるのも楽しいだろうなあ。笠智衆が退職金を娘にわけてしまってたいして金もってないとわかると、女の態度は豹変。そこで終わり。笠智衆ショボーンみたいな。
いやー、笠智衆もわかってたと思うけどね。相手が金目当てって。でも目先の楽しさで現実を見ないようにしていたんだろ。
楽しかった老いらくの恋が終わってトボトボ帰宅する笠智衆。藤竜也と別れて意気消沈の十朱幸代。自分で自分を老け込ませるのはよくないと、喫茶店を始めて人生再スタートすることにした芦川いづみ。吉永小百合は浜田光夫と。
和泉雅子は競馬にグライダーにマイペースに遊んで若さを謳歌する。それぞれの恋が終わり、人生が始まるって感じのエンディング。