狐につままれるというのはこういうことをいうのかな。神の啓示を受けたらこういう感じで腑に落ちないモヤモヤなことがおきるのかな。見る前は、もっとポップなやつかと思ってたんですけど、中身はかなりキチっぽい感じでした。
さえない中年男のレイン・ウィルソン。奥さんのリブ・タイラーが家出してしまう。なんかリヴ・タイラーは元薬物中毒者らしくて、またクスリに手を出しちゃってドラッグディーラーのケヴィン・ベーコンのところに行っちゃった。
レイン・ウィルソンはなんとか妻を取り戻そうとするけどうまくいかない。悶々とする中、ある日神の啓示をえる。脳みそを神の手が触れるみたいなのを、文字通りそのまんまの映像で見せるわけ。うわー、グロ!ってひいたなあ。
それまではけっこう普通のトーンのドラマだったのに、バイオレンス描写がきついんすよ、この映画。自分で布買ってきて縫って衣装を作って、悪を罰するヒーロー、クリムゾンボルトに変身。かなりやばい。
自作コスチュームに身を包んだおじさんが工具を武器に人を殴りまくる。まあ一応相手は売人とか悪人ですけどね。列に割り込んだ人もボコボコに殴ってたから、なんかずれてないかって思って怖いんですよ。
正義のヒーローって思ってるけど、この人やばいだけじゃないのかな?みたいな。レイン・ウィルソンだけでもやばいのに、そこにエレン・ペイジも加わります。エレン・ペイジはコミックショップの店員でレイン・ウィルソンの正体に気がついて大興奮。
私もヒーローやるってノリノリ。ヒーローにはサイドキックがいるものでしょ、だからわたしもやるやるっていって押しかけサイドキック。コスチュームもすぐ作って名前も考えて一緒に悪人退治に出動。
しかもコスプレに興奮するのかレイン・ウィルソンと寝ようと誘惑してきたりする。なんかやばすぎた。この映画で一番おかしい人がエレン・ペイジでした。
まあ、それで最後は嫁のリブ・タイラーを取り戻すためにケヴィン・ベーコンたちと対決。ケヴィン・ベーコンがヤクの取引してるところに殴り込みかけて戦闘になる。その戦いのなかでエレン・ペイジは顔半分を吹き飛ばされて死んでしまう。
暴力描写がかなり残酷なんすよねえ。一味の一人なんか後頭部を地面に何度も叩きつけられて殺されるし、妙に生々しい描き方するのが、うわ~って思います。
それでなんとか勝利してリブ・タイラーを取り戻すんだけど、彼女は彼のもとを去る。そして立ち直り別の男と人生をやりなおし3人の子供をもうけるんだったかな。
レイン・ウィルソンはぼっちでウサギをペットで飼って暮らす。レイン・ウィルソンは神に選ばれたと思ってヒーローになったつもりだったけど、ほんとうに神に選ばれていたのはリヴ・タイラーだったのだと思う。
彼女を救って人生の再スタートを切らせるために、神が自分にヒーローをやらせたんだと考える。うわー、こわ~。そして悲しい。命がけでやったことで、彼は何も手に入れられない。涙。そりゃ涙もでますよ。
なんだかほんとに奇妙な映画だった。お気楽コメディかと思って見始めてみれば、サイコな悲しい話だったというね。意外だったなあ。