劇場公開のときにIMAX 3D上映されたらしいので、それなら見る価値あったかもしれない。劇場の大画面で、奥行きの感じられるIMAX映像で、あの地上110階の屋上の綱渡り映像を見たら、実際にそこにいるかのような体験ができたのだろう。
でも、悲しいかな、家の小さなPCの画面で見る映像はしょぼくて、なんか合成丸出しに見える映像で落ちたら即、死の緊張感は感じられなかったです。なんだろなあ、ほんと作り物な映像に見えちゃった。
風とか空気の振動、温度、そういうのが全然感じられない映像なんですよ。スタジオで撮影して背景を合成してるんだなみたいな、マトリックスみたいな作り物な世界の映像に見えてしまった。
とてつもなく危険なことをしてるはずなのに、なぜか安全に見えてしまった。作り物まるだし。
この映画の醍醐味は綱渡りシーンにあるので、そこが作り物に見えちゃったらもうどうしようもない。ジョセフ・ゴードン=レヴィット演じる主人公が観客に語りかける方式で、計画がどのように遂行されたかを解説してくれるので見やすいんですけどねえ。
犯罪計画を仲間集めして成功させるクライムサスペンスみたいな構造なので、見てられることは見てられるけど、深い人間ドラマが描かれるわけではなく、ただたんに役割を与えられた人物が出てきてすぐに仲間になって、よくわからないけどトントン拍子で準備できてみたいな流れ作業的に描かれるからスリルはありません。
細部が適当すぎる。
もっとドキュメンタリーっぽく作ることもできたと思うけど、すでにドキュメンタリーがあるから、別方向でということで、こんな作りになったんだろうなあ。それならこんな解説動画みたいな作りにしなくて、臨場感のあるサスペンス風に作ってほしかったような。
ジョセフ・ゴードン=レヴィットはかなり誇張して演じてるような気がしました。変人、気難しい天才、変わり者っていうのを強調してる演技してます。癖強いなあ、この人みたいな。
やなやつっていうか、なんか自信満々でドヤるやつっていうかね。ニヤニヤしてるのが、傲慢に見えて感じ悪いやつに演じてて、そこはあんまり良くなかった。ドキュメンタリーではそんな傲慢な人には見えなかったような気がしたけど、どうだったかな。
実際の本人はどんな人だったか、全然覚えてないや。実際に起きたことと、映画の創作の部分がどこなのかもあいまいではっきり覚えてないんだけど、警官に挟まれてロープを行ったり来たりするのは実際なかったような気がする。
警備員をやり過ごすために梁の上でじっと隠れてたのは実際にあったことだったっけ?釣り糸を探すために裸になったのもほんとだったような。どうだったかなあ。まあ、映画ならではの大きなファンタジー描写はないみたいだから、どうでもいいですけどね。
あんな高いところにロープをはって綱渡りしたら美しいだろうと思うからやったという無謀な者をもうワールド・トレード・センターが受け入れることが二度とない。存在していないっていうのがなんとも言えない気持ちになりますね。