最初の数分で、こりゃもうきついなあって感じてしまった。わざとこういうのっぺりした紙芝居みたいな映像で作ってるのかな?監督が黒沢清なので、またいつもの変な感じの映像なのかと思ったら、そういう黒沢清節とも違うように感じました。
ただただ安っぽい。黒沢清節は、普通に見えて変な違和感や怖さを感じさせる映像や役者の演技なんすけど、この映画はそういう引っかかるところが何もない。ただ安い。ただぺらい。そう思っちゃったなあ。
内容もとくにどうということもないというか、何も感じないというか。蒼井優のお見事!がおもしろかったぐらいですかね。おもしろいっていったけど、撮り方も蒼井優の演技も控えめで、すごいよかったということはないです。
他にピックアップできるところがないから、蒼井優のお見事シーンぐらいかなって言わないといけないなみたいな。
「柳生一族の陰謀」の萬屋錦之介の夢だ、夢でござる~!ぐらい迫力あるおもしろシーンにしてほしかったよ。もっとしつこくさ、ねばっこく発狂していく蒼井優のさまを描写してほしかった。
だから結局、薄いんですよねえ。スパイのサスペンスも薄い。夫と妻の間の信頼関係の揺れ動きのドラマとしても薄い。戦争下でのコスプレ歴史劇としても薄い。映像も薄い。
主演の二人の演技もどうなんかなあ。高橋一生、蒼井優、どっちもなんだけど、幼すぎる。ふたりともいい年齢した大人に見えない。子供が大人の服着て、一生懸命おとな演技してますみたいな滑稽さがありました。
戦争でがっつり儲けるやりての商人に高橋一生はまったく見えないし、蒼井優は金持ち夫人にまったく見えない。高橋一生は一生懸命渋い男ですみたいな演技するし、蒼井優はやたらに笑って貴婦人ぶってみせる。
それが全然はまってない。これは演技力うんぬんというより、二人の見た目が若々しすぎるし、撮り方にも工夫がないからどうしようもないです。蒼井優なんか、レトロな衣装も相まって子供が大人の女のモノマネ演技してるようにしか見えなかったもんなあ。
ママゴトを見せられてる感じ。
結局なんだったんだろうなあ。蒼井優は愛から夫の支えになろうと、スパイの妻をまっとうする気でいたのに、夫のほうは妻を捨て駒にしか思っていなかった。高橋一生は筋金入りのスパイだったということなのかな?
最後は字幕で処理。うわー、安いなあっていうね。こりゃダメだ。