総会屋をどう封じ込めて関係を断ち切るかということがこの話のひとつの肝になってるけど、それもよくわからないというか、それでうまくいったと言われてもなあみたいな描写になってました。
一般株主のおじいさんに発言させて、おじいちゃんが銀行も悪習を断ち切るように頑張ってるとか、犠牲になった人の慰労金だとか人情的な発言をしてくれて、それで株主総会の流れがいい流れになってうまくいったみたいな描写なんすけど、それってちょっとなあ。
あのおじいさんが役所広司たちの仕込みで、総会屋たちを黙らせる作戦だったとかだったら、なるほどってなるんだけど、そういうわけじゃなかった。役所広司たちが、真面目にダメなことはダメと頑張るだけでどうにかなった的な描写で、そこはなんか甘いような気がした。
そんな正直者が勝ちましたみたいな話では納得できないすね。
銀行が総会屋に不正な利益供与をやってるのを、中堅の銀行員たちが立ち上がり、構造改革に乗り出すのを見せていく。それが真面目にやってりゃうまくいきました的な描き方だからどうも面白みに欠けます。
中堅の行員を演じているのが役所広司や椎名桔平っていうのが時代を感じますね。もう20年前の映画なのかあ。役所広司ってなんかずっとおじさんっていうイメージがあるから、けっこうまだ若々しい中堅銀行員役やってたのが、新鮮に感じました。
総会屋と手を切る、それには相談役として銀行に君臨している仲代達矢もどうにか抑え込む必要がある。役所広司は仲代達矢の娘の風吹ジュンと結婚してるんすよ。それならば、てっきり仲代達矢派なのかと思いきや、全然そういうことはない。
そこもなんだかファンタジーというか、よくわからないところですね。映像の感じとか、写し方はリアルな感じでよかったけど、中身はファンタジーで甘いような気がしました。ハードさが足りないかな。
総会屋が銀行ビル前で拳銃乱射したりとかの描写もあったけど、なんか襲撃犯がかっこつけてタバコをふかしたりしててさ、アクション映画みたいになってて、せっかくの金融サスペンスの緊張感がなくなってしまってました。
銃を乱射して、タバコふかしてかっこつけてたけど、誰に向かってかっこつけてんの?みたいな。映像の感じとかテンポとかはよかったのでおもしろく見れたんだけど、中身はいまいひとつって感じでした。