ファッションデザイナーの桃井かおり。写真家の高橋長英。ホステスの伊佐山ひろ子。漫画家の谷本一。この4人がメインの出演者。桃井かおりが住んでる米軍ハウスに、高橋長英が転がり込んでくる。
強引に関係を結び恋人みたいになる桃井かおりと高橋長英。なんか、この時代の男女の関係の始まりの描き方はこういうのが多いですね。ほとんど犯罪的に男が女を強引に抱くっていうやつ。女のほうは抵抗するんだけど男が力尽くで関係をもつ。
それで仕方なく腐れ縁的に女が男を受け入れるみたいな。男女の出会いと関係の始まりをこういう形で描く映画や小説や漫画とかが70年代は多くないすかね。時代のムードがそういう感じだったのかな?
男と女は体の関係で始まるもんだみたいな。昔の漫画、劇画でもそういうのをよく見かける。男が強引に女に迫って、愛してるんだといって犯す。それを女は事後承諾せざるを得なくて受け入れる。そういうのを男気とか男の純愛だとかみたいに描く劇画がけっこうあるような。
今の時代にそういうのを描いたら男女の恋愛じゃなくて、ただの犯罪案件になっちゃうよ。70年代はどうだったんだろ。そういう話を見て、愛とかロマンスとかを感じてたのか。それとも犯罪的に見てたのか。
時代がかわると愛の定義もかわるのか。まあ、難しいことはわかりませんが。わからないといえば、この映画のストーリーもよくわかりません。何がどうなったのか、何をどう描きたいのかがよくわからない。
監督は藤田敏八。監督作品で好きなのけっこう多いですけどね。修羅雪姫とか野良猫ロックとか、妹、バージンブルース。十八歳、海へ、スローなブギにしてくれとかさ。時代の空気みたいなものを感じる映画が多くて好きなんだけど、今作はピンとくるものがなかった。
高橋長英が主役で彼を中心に見ればいいのかな。桃井かおりのとこに転がり込む。ヒモ同然なんだけど、俺はヒモじゃないぞと強がる。カメラマンやってるみたいなんだけど、芸術とかじゃなくてエロカメラマン。桃井の友達の伊佐山ひろ子と谷本一のカップルが合流。
桃井との関係がうまくいかない高橋長英は風呂で手首を切ってみたり、伊佐山ひろ子と寝てみたりする。それに怒った谷本一が桃井かおりを襲う。そこをカメラで連写しまくる高橋長英。いったい彼らはどうなってしまうのか?
そしたらさ、みんなで仲良く朝ごはん食べてんの。アハハって和やかにテーブルを囲んで和食な朝ごはんを楽しく食べてる4人。昨日までのただれたいざこざはどこへやら。なんかよくわかんないっすね。
高橋長英と谷本一が仲良くコンビで、夜の公園のカップル相手にエロ写真を売りさばいていくラスト。いや、どういうことだみたいな。男が女の家に転がり込んで、騒ぎを起こして、それでどうしたのかよくわからない話だ。
外の犬小屋が燃えていたのも、米軍ハウスの壁の星条旗柄を白いペンキで塗りつぶしていたのも、なにかのメタファーかと思ったけど、いや、そんな難しいこと考える必要はなさそうか。ニーチェだっけ、ゲーテだかの本の朗読をしてるシーンもあったけど、70年代はこういうのがかっこよかったんだろうな。
難しいことを知ってるような感じ、アメリカへの憧れと反発、が70年代アートには必須要素だったんだろか。日活ロマンポルノにはベッドシーンが3回ぐらいあれば、内容は自由みたいな感じだったらしいっすね。
なので、日活ロマンポルノには妙にアートっぽいのが多い。アメリカンニューシネマっぽいのとか、ロードムービーみたいなのとか、妙に前衛っぽいのは、ベッドシーン以外の少ない持ち時間の中にいろいろとやりたいことをぶち込むから、説明も少なくなって妙な味わいを生むからだろうか。
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