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中央公論特別編集『彼女たちの三島由紀夫』
岸田今日子、高峰秀子、越路吹雪、石井好子、
有吉佐和子、中村勘三郎、芳村真理、宇野千代らとの全集未収録対談を収録しています。
岸田今日子さんっておばあちゃんのイメージしかないから、
写真が若いので新鮮だった。
1954年の対談だからそうとう昔ですね。
そりゃ三島由紀夫も岸田今日子も若いわけだ。
三島由紀夫が若くてバリバリのときの対談やエッセイが収録されているので、
巨匠とか文豪とかっていうイメージの三島由紀夫ではなくて、
流行作家、人気者、スーパースターという
からっとした明るいイメージの三島由紀夫が楽しめました。
杉村春子、若尾文子、円地文子、南美江、倉橋由美子らの三島の回想文もあります。
酒井順子、ヤマザキマリ、石井遊佳、北村紗衣によるエッセイもあり。
女性による三島読本ですね。
写真もけっこういっぱいのってる。
やっぱりボディビルをする前の三島由紀夫のほうがいい顔してるんじゃないか。
新進気鋭の作家っていう感じの
鋭い目をしてて、目の中に力がある気がします。
貧弱な肉体にコンプレックスがあろうと、
それを凌駕するだけの文学的才能があるという
迷いのないいい顔してる。
やっぱボディビルとかやりだしたり、
私設軍をやりだしたりっていうのは、
文学的才能に行き詰まりを感じてしまったからなのか。
自信作だった「鏡子の家」がまったく理解されず
評価されなかったのが決定的にとどめを刺した。
よっぽどこたえたんだろね。
ゆるぎないよりどころがなくなってしまった。
必死でかわりになるものを探した結果が自刃だったと。
体鍛えてみたり、映画に出演してみたり、自衛隊で訓練してみたり。
まあ、三島由紀夫ってすごい深堀りできる作家ですね。
作品もすごいし、本人の生き様もいろいろあるし、
深く知ろうとすればどこまでもあれこれ考えられる。
要素がいろいろありすぎる。
こんな作家、そうはいない。
やっぱり三島由紀夫はスーパースターですね。