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食にまつわる父と母、思い出のエッセイ『アガワ家の危ない食卓/阿川佐和子』【読書感想】



アガワ家の危ない食卓/阿川佐和子


うまい。

よくもまあうまいことエッセイを書けるもんだなと感心しきりです。

食エッセイなんですけど、

うまいこと父親や母親との思い出やエピソードを盛り込んで

ちゃんとオチらしきものまでつけて短文でまとめてある。

阿川佐和子さんはエッセイの名手ですね。

食べ物のエッセーって難しい。

食事って誰もがするもんだから、

身近な題材であるだけに、

おもしろいポイントを見つけにくい。

何気なく毎日食べて作ってとやってるもんだから、

文章でわざわざ書き記すことが何もないと

普通は思っちゃう。

そこをおもしろポイントを見つけ出して文章としてまとめるのは

ほんと難しいですよねえ。

ラップを洗って二度使ったりするっていう話なんかも

ちゃんと読ませる文章になってるし。

一つのテーマから、あれこれ思索が膨らんでいく感じの文章で

実に楽しめるんだなあ。

それに食のエッセイでよくあるのが、

グルメ系で、あれがいいあれがよくないみたいなの。

そういうのって何十年も前で庶民では手に入らない食材だらけだった

時代にはおもしろく読めたもんだけど、

今やネットでなんでも手に入っちゃう、調べたらわかっちゃう

時代なのでそういうのは流行らない。

そうなってくると、食にまつわる人と人の思いの話が

書かれているものが今の時代にはあってる。

この本はそういう話がいっぱいつまってるので

中身が濃くておもしろかったです。

阿川さんの父上は、残り何回あるかわからない食事なんだから

まずい食事は1回たりともとりたくないと

うまいものを食いたがったんだって。

わかるなあ。

わかるっていうかそういう人いますね。

うまいもんを食うことが幸福のものさしになってる人。

そういう人って強いし、長生きのような気がします。

阿川弘之って94歳まで生きたんだ。

やっぱり元気ですね、うまいものを食うことに執念がある人は。

旨いもんみんなで食いに行こうっていうのが口癖みたいな人だったらしい。

食がコミュニケーションの手段だったんだなあ。

いやー、でもさ、うまいと感じるようなものを

毎日食えるってそれが一番幸せですよね。

なんだかんだいって。

食事が楽しみで旨いと感じられるということは健康な証拠。

毎日うまいものを食えるということは

一緒に食べる家族や仲間がいるということだし。

一人で適当に済ませる食事の虚しいことといったらないよ。

なんも味しないし、食事が楽しみでもなんでもなく

むしろ苦痛だったりするし。




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