服を脱ぎ捨てるところがところどころストップモーションになってなんだかとってもかっこいい。この冒頭の数分でがっちりハートをつかまれました。横山エミーのやさぐれ度が半端ない。
え?って度肝を抜かれるシーンが満載でした。横山エミーは蓮っ葉で寡黙であんましゃべらないんすけど、しゃべると声が可愛らしくてギャップ萌えみたいな。そんな横山エミーが走る、跳ぶ、アクションする。そのうえいたぶられまくります。
敵にとっつかまって、監禁されてシャブ中毒にされちゃう。安岡力也に小便ぶっかけられたりします。安岡力也は、変な独り言をずっといってるちょっと頭がおかしくなっちゃってる役で、え?めちゃくちゃすぎじゃないか?みたいな。
奇声を発しながら薬中毒の症状でのたうち回る横山エミー。ゴミの島で始末されかかったところを相棒のジャンボかおるに救出されるのだが、ゴミの山をバックにハエがたかってる裸でやつれた横山エミーという映像のインパクトがすごすぎる。
いかした若い女で主役がここまでズタボロな姿を見せるのかと。薬を抜くために部屋に閉じ込められるのだが薬の禁断症状で暴れる、ジャンボを殺そうとする、誰かが殺しに来ると幻覚を見て包丁を振り回すとか恐ろしすぎる。
めちゃくちゃ荒っぽいです。バイク軍団とのカーチェイスとかもあるんすけどめちゃくちゃ危なくてみててスリルがすごい。ちゃんと管理されたカーチェイスに見えないもんなあ。
ワイルド・スピードとかのカーチェイスってどんだけ無茶やっててもはいはいCGねってなるからあんまり危なそうに見えないですけど、これは普通に無茶やってるのを撮ってるようにしか見えないので見てて怖い。普通に事故映像じゃないの?みたいな生々しさ。
また、ジャンボかおるがいいキャラしてんすよ。プロレスラーみたいな巨漢でキックボクシングの使い手。この人よくわからんのだが、動きが本物の格闘家っぽいです。美人じゃないけど、男前すぎてかっこいい。
そんな感じで映画の半分ぐらいですでにお腹いっぱいなのだが、まだまだ終わりません。
悪い奴が汚職事件から世間の目をごまかすために囚人に銀行強盗をやらせることにする。巨悪から目をそらせるために囚人に銀行強盗やらせるってどんだけ権力と金もってんだ、この悪党はって感じです。
今でいう、政権に都合の悪いニュースをつぶすために、芸能人のドラッグ逮捕のニュースをタイミングよくぶつけるみたいな感じかな。3日間も騒げば世間の目をくらませられるだろって感じで無期懲役の凶悪犯を3人リストアップ。
そのメンバーが濃い。寡黙で連合赤軍くずれのような思想犯っぽい雰囲気の内田裕也。陽気な変質者、古尾谷雅人とその兄貴。このいかれた3人がきゃっきゃと楽しそうに銀行強盗して銀行に立てこもります。
行員を殺す、犯すとやりたい放題。狂ってやがる……。
ゆうやたちは3日間とにかく立てこもれば海外に逃がしてやるという契約なので金を奪って逃げるとかいう気はなくてカップラーメン食って時間つぶしに女行員を犯したり殺したりです。
マスコミ、世論の目が汚職事件に向き、せっかく巨悪を追求するムードが出てきたところなのにそんな時間稼ぎをさせてなるものかと上司の岸田森は銀行立てこもりを早期解決させるために横山エミーとジャンボかおるを送り込む。
狂った3囚人たちと横山エミーとジャンボかおるが銃撃戦です。横山エミーはシャブが抜けきってなくてまだ体はふらふらです。見てるこっちも頭クラクラです。
そんで最後は黒幕たちを道端でトラックにひき殺させたり、ジョギング中に毒を注射して殺したりで任務完了。
いや、これで解決なのかな?みたいな。
一応、ワニ分署って警察のひとつの部署じゃなかったっけ……みたいな。
あれこれ監視とか捜査とかしたけど、結局、黒幕の悪いやつをぶっ殺して終わりってじゃあ、最初からそうしろよみたいな気がしたけどなあ。
まあ、とにかく濃い。出てくるやつらが濃い。カーチェイスが普通に事故ってそうで濃い。なんなんだろ、この熱気むんむんな感じ。
命知らずたちが集まって頭のおかしな映画を作ったみたいな妙な熱気を感じてしまう。1979年の映画らしいんすけど、やっぱこの年代の映画って独特なムードがありますね。
頭おかしくてSAIKOUみたいな。
監督は曽根中生。荒井晴彦、高田純、曽根中生脚本。篠原とおる原作。横山エミー、ジャンボかおる、岸田森、山谷初男、今井健二、安岡力也、古尾谷雅人、内田裕也、佐藤慶出演の日活映画。
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