おもしろい映像でよかったんだけど、いかんせん内容がワンアディア一発って感じだから、どうしても長いと感じてしまう。
砂漠に作られたニュータウンが舞台。時代はよくわからないけど、1950年代っぽい。ピッカピカでいかした住宅に車。いけてる若い夫婦たちが住む住宅街。毎日パーティーのようなハッピーな生活が続いていたのだが、
フローレンス・ピューはときどき妙な声が聞こえたり、おかしなことが起きたりして完璧なこの世界に疑いを持ち始める……ってな感じ。
フローレンス・ピューとハリー・スタイルズが夫婦なんすけど、彼らや仲間たちの生活があまりにもパーフェクトでハイテンションだから、現実味があまりない。
ハリー・スタイルズは仕事はなにしてるのかよくわからないけど、暮らしぶりはいいです。毎朝の出勤風景がおもしろおかしい。
ブーンって一斉にみんなが車で出勤。砂漠を突っ切ってどっかへ向かって走っていくんだけど、会社がどんな会社なのかわからないし、何してるのかもわからない。でもお金に何不自由なく、買い物はすべて付けでいい。
謎のボス、クリス・パインのもとで、このニュータウンは建造され繁栄をしてる。今度、第2地区ができて新しい仲間が増えるらしいよみたいな。
なるほど、これは偽りの世界なんだなって最初のほうで感じます。その嘘がどういうふうに暴かれるのか、フローレンス・ピューが知ることになるのかって思って見てるんだけど、
なかなか本当の世界が現れない。いつまで引っ張るんだよ~って。この世界は偽りってもうわかってるんだから、さっさと次の展開頼むよってなってくる。
おかしなことが起きる、それはもうわかったから~って感じ。くどさを感じてくる。この町から出たらダメとか、ここから先は行っちゃダメとか、なにか知ってるやつが目の前で自殺とか。
まあ、その奇妙な出来事映像がおもしろいから見れちゃうんだけどね。フローレンス・ピューがサランラップで顔をグルグル巻きにする映像とか、おもしろすぎる。
この世界がなんなのかは、ほんとに後半の後半、最後の最後らへんになってからあかされます。遅い。遅すぎる。
50’sな映像がおもしろいし、フローレンス・ピューの演技もおもしろいから見てられるけど、それにしても引き伸ばしすぎる。
この完璧な世界は実は現実ではなくて、現実は、夫は無職の引きこもりのオタクで、医者で忙しく働くフローレンス・ピューを拘束して、なんかの装置で仮想現実を見せてるという状態。
フローレンス・ピューはオタクの変態の夫にベッドに拘束されて夢を見させられてるという状態になってるっていう話。
これを2時間引っ張るか?っていうね。30分でいいよっていうね。
うーん、結婚生活、夫婦の関係のいびつさを風刺したいのかな。夫は妻に夢を見させるけど、それは幻だといいたいのか。
専業主婦はダメ夫によって閉じ込められているというのを見せているのか。
夫はニートで夢も希望もなく、日銭を稼いであとは幻想の世界で嘘の夢を見るのが人生になっている。
うーん、この設定いるか?って感じするなあ。普通に1950年を舞台にした夫婦の話でよかったような気がしたけど。
変なSFスリラーな、実は仮想現実でした~みたいなありがちな設定いらなかったような。
それかやるんだったら、現実世界の描写をもっと多くして、このあとの展開も作ってほしかったですね。
なんかさ、作り手が夢の世界、偽りの楽園の描写を撮影するのが楽しすぎて現実を忘れてたからこういう仕上がりになったような気もする。
この映画の登場人物たちと同じように、この映画の制作陣たちも映画という嘘の世界の刺激に夢中になって現実を忘れてたんじゃないか。