タモリの世にも奇妙な物語の1話で十分って感じ。20分ぐらいでやってくれたら、楽しめるんじゃないかな。2時間はさすがに長すぎ。
郊外の一軒家に暮らす夫婦。火事でダメになった家を建て直したかなんかで、妻のジェニファー・ローレンスは壁を塗ったり家造りをがんばってる。
夫のハビエル・バルデムは詩人だっけ。新作に取り掛かろうとするけど、インスピレーションが浮かばなくてなかなか筆が乗らない。
そんなとき、夜にエド・ハリスが訪問してくる。よく知らない人なんだけど、ハビエル・バルデムは喜んで家に受け入れる。部屋がいっぱいあるから、住んでいいよって勝手に決めちゃう。
ジェニファー・ローレンスは夫との居心地いい空間としての家をこれから作ろうとしてるのに、なんで知らない人間を家にいれるのか理解できない。
そしたら、また知らない人がやってくる。エド・ハリスの妻であるミシェル・ファイファーがやってきて、彼女も家で住むとか言ってて、夫はなんも言わない。言わないどころか、これで刺激ができて新作のインスピレーションにつながるぞとか言ってんの。
ジェニファー・ローレンスはストレスでしかない。そういう描写が続きます。知らない訪問者がやってきて、家に入り込んで好き勝手するのを、ハビエル・バルデムはなにも疑問に思わず、当然のことだって感じでニコニコ受け入れる。
それが理解できなくて、いらいらをつのらせるジェニファー・ローレンス。それが2時間続くだけです。
これはきつい。
見てるこっちがきついです。
後半、混乱がどんどんエスカレートして、家がすごいことになっていくところの映像はおもしろかったけどね。
数人、トイレを貸せと入り込んできたかと思うと、続々と次から次へと家に侵入されてて、パーティーみたいな騒ぎになってて、さらには宗教儀式みたいなのが始まって、そして武装警官たちが踏み込んできて銃撃戦で戦場みたいになってみたいな
目まぐるしく状況が悪化していく映像はおもしろかったです。
ジェニファー・ローレンスが妊娠、出産して、ハビエル・バルデムが新作の詩を完成させて、これでおちついた家族の暮らしができると思いきや、さらにぐっちゃぐちゃになっていく。
最後は燃えて全部灰になります。
そしてすべては振り出しに戻って、朝目覚める映画の冒頭がまた始まる。
これは比喩っていうやつですかね?メタファーだっけ。創作するという行為を擬人化して物語として見せたっていうことなのかな?
芸術の母の苦労話。
ジェニファー・ローレンスは創作の女神ミューズ。ハビエル・バルデムはアーティスト。
ハビエル・バルデムが作品を作り出すまでの脳内で起きてる葛藤をこういう形で映像にしてるのかと思ったんだけど。
芸術家がひとつの作品を生み出すまでの心理的な状況の変化を夫婦の生活という映像で見せているということなのかな?
芸術の神は芸術家に芸術のことだけ考えていてほしい。ジェニファー・ローレンスはハビエル・バルデムに、自分との生活を大事にしてほしいと思ってるわけだけど、芸術家は移り気なので、雑音がいっぱいで女神のことだけに集中してくれない。
その雑音がエド・ハリスとかミシェル・ファイファーたち、謎の訪問者たちの形で描かれる。
混乱しながらもなんとか子供=作品が生まれる。そしたら雑音が増える。作品を神格化するファンやらなんやらが大挙しておしよせる。
それをまんざらでもないとうけいれるハビエル・バルデム。芸術家が芸術だけに集中しないことに絶望した女神はすべてを燃やして灰にしてしまう。
そしてまた新しい作品にとりかかるアーティストと、作品を生み出すまでの新しい朝がやってくるみたいな。
創作という行為を夫婦の生活という形にして見せたのがこの映画かなと思ったんだけど、違ったのかなあ?
シャマランの「レディ・イン・ザ・ウォーター」っていう映画と構造は似てるような気がした。あれも物語ができるまでを御伽噺の形で映像化してたんじゃなかったっけ?あんまり覚えてないけど。
まあ、でもどうだろね。ジェニファー・ローレンスがイラッとするのをずっと見せられるだけなので、おもしろくはなかったですね。