金田一耕助に該当するキャラクターがいない。横溝正史ミステリに探偵の金田一耕助がいないと困っちゃうよ。金田一耕助は解説者で、外部の立場で事件の全容を整理して教えてくれる重要な役割を担っている。
探偵なのに事件を解決しない、事件を防がない、犯人を捕まえない。横溝正史ミステリの探偵は解説者役。なんもしねえなあ、金田一いらないじゃんって思うときもあるけど、解説役がいるから、話が引き締まるというか、
当事者たちの心のうちを代弁してくれるから、必要な役なんだ。部外者の視点。それがこの鬼太郎ではないんだなあ。
水木もゲゲ郎も当事者として事件の渦中にいる人。それぞれの理由でもがき苦しみ、戦ってます。涙涙で湿っぽい。それを外側から、彼らの思いを理解して解説してくれるドライな探偵役がいたら、ピリッと引き締まるんだけどなあ。
横溝正史テイストでやるんだったら、探偵も出してほしかったです。
お話は、血液銀行に勤める戦争帰りの水木が、政財界を牛耳る製薬会社一族の当主がなくなって跡目がどうなるかを知るために一族の村に行く。
次の頭首にいち早く食い込めたら会社の利益になって自分も出世できるから。そんで奇妙な因習にしばられた一族の村で、殺人事件がおきてどうなるかっていう感じ。
自分以外のよそ者のあやしい男もいて、そいつは行方のわからない妻を探してるとかで、水木とその男、名前はわからんので、仮にゲゲ郎と呼ぶ、は一族の闇にふれることになる。
うーん、見れば見るほど横溝正史だ。「犬神家の一族」と「八つ墓村」の合体か。
横溝正史ミステリなら、ゲゲ郎が探偵金田一耕助になるはずのポジションなんすけどねえ。そういう雰囲気はあったんだけど、ゲゲ郎は幽霊族で、奥さん探すことで頭いっぱいなので、金田一ポジションにはならず。
Mとかいう製剤を作っててそれがすごいドラッグらしいんだけど、その製法が、幽霊族の血を人間にいれて、バケモノ化した人間の血をとることでできあがってた。
幽霊族っていうのが、よくわからんけど、妖怪でもない人間でもない種族らしい。ゲゲ郎はその幽霊族の生き残り。幽霊族をとらえて血を取り続けていたのが、一族で一族の当主は近親相姦でできた子供の体をのっとって生き延びてたりとかします。
狂骨とかいう妖怪を使役したりとかもします。
そんな感じで横溝正史ミステリ的なことがいろいろあったけど、横溝正史ミステリやってんなとしか、印象に残ってない。
あとなんだろな。猫娘が今風ギャルみたいな美人になってたのが印象に残ってる。最後の敵はルパン三世のマモーみたいだ。それぐらいかな覚えてるのは。